興心くんへの受験英語指導その3(完)

松谷です。

 

興心くんへの受験英語指導その2

 

興心くんへの受験英語指導その1

 

の続きです。今回で最後です。

 

英作文

英作文は、大矢講義の実況中継を1日目5レッスンずつ進めていくことにしました。講義を読むだけならはっきりいってすぐできます。ただ、今回はやりはじめてすぐ、彼の書くことへの経験不足がかなりのレベルにあるなと感じました。。

感覚としては、中学3年の最初くらいで止まっているという感じでした。

しかし、95パーセント以上の大学受験生がその程度もしくは、それに毛が生えた程度なのも知っていましたので、強制的に、毛が生えたレベルにはなれるように、各レッスン二問ある演習問題をほぼ一言一句再現できるように覚えてもらい、そのテストを行い、スペリングミスなどを細かく添削していきました。やはり、現在の大学入試英作文で、最初に基礎を固める際には、100〜150くらいの英作文をその考え方とともに暗唱してしまうのが1番早いと感じますので、それを実行してもらいました。

その結果20日後にはほぼ完璧になっていたと思います。

また、京大の入試問題が、去年から、自由英作文を含む形に変わりましたが、今年も自由英作文が90パーセント以上の確率で出ることはわかっていたので、それの対策も行いました。数十年以上続いた和文英訳のみの形式を変えた時点で、それを1年で戻すことは、プライド的にも許さないですしね。

 

対策は、同教材のなかの最後の方に載ってる、自由英作文の構成の仕方(主張→ボディ→結論)と、つなぎ言葉のところを覚えてもらったうえで、東大の過去問の自由英作文のなかから、出る可能性がある形式を10年分くらいピックアップしてやってもらい、添削を行いました。

 

自由英作文は、最初なかなか内容の一貫性などに苦労していたようでしたが、普通の英作の力がある程度ついてくると、より簡単な英語で書いていくことができる自由英作文は、わりとすぐ及第点にのっかった気がします。

 

また、京大の英作文の過去問や模試の問題を解く前には、難しい日本語を英作文する際の考え方について簡単にレクチャーを行いました。(阪大などもこんな感じの英作文ですね。)

 

レクチャーした内容は、英作文の際のとっかかりのやり方(主語と動詞の設定からの修飾表現の処理)、難しい日本語の言い換えなどの切り崩しかた(日本語を伝えるわけではなく日本語が表す内容を伝える)などです。

 

 

 

実践演習

 

さて、最後、実践演習です。いっぱい書きすぎて、もはや起伏のない事務的な感じの文章になってますが、お許しを。。

実践演習としては、模試と過去問を2日後に1年分時間をはかりながらやっていくことにしました。

そして、まず顕在化した問題は「解き終わらない」というものでした。どうしても英作文の1個目までしか終わらないのです。

 

語彙を増やすことはできたので、速単の速読練を一緒にやってみたところ、スピードもまずまずです。

 

うーむ、おかしい。もう一年分やってきてといいました。

 

ただし、今度は長文で問題を解くとき、いったん最後まで読んでから和訳箇所に戻って書くように指示しました。

 

和訳のところまできたら、書くということを繰り返すと、読解がブツブツに切れてしまうので、全体として意味もとらえにくくなりますし、流れにものれないので時間がかかります。さらに、和訳箇所が前後の文脈のなかで意味が規定されるケースがあるですが、和訳箇所まできてから書くというやり方は下線部の後の文脈で意味が規定されるパターンに弱いのです。(問題形式によっては、その場で答えながら進んだ方がいいときもありますが。)

 

 

今度は大丈夫だろうと思い、少し期待しながら、待っていると、

 

 

やはり解ききれません、と、悲壮感が漂う彼がやってきました。

 

 

 

さすがに、焦りました。なぜだ?!

 

 

 

僕は彼の長文を解くときの実際の彼の動作や時間配分、頭の中の動き方のすべてに対して、自分が解くときとの違いを意識しつつ、注目してみました。

 

そして、ついに見つけたのです。決定的な無駄な部分を。

 

 

彼は、和訳時に、問題用紙に下書きをしてから、本番の解答用紙に答えを書いていたのです。もちろんすごく実力があるひとが、丁寧にやるならそんな方法も悪くはないのです。しかし、そんな余裕は彼にはなかったのです。

あとは問題用紙の和訳箇所がきれいすぎるということも感じました。

 

そこで、ぼくは、こう提案しました。和訳箇所だけはある程度の構文分析結果を和訳のための補助として、問題用紙に残しておこうと。(即ち、主語の区切りに線を入れるとか、修飾表現をくくるとかです。)

そして、それをする時間をとる代わりに、解答用紙に下書きなしで一気に書き出そうと。

 

構文分析が確定してたら、日本語の語順などのぶれがほとんどなくなるので、下書きなどが不要になるのです。

 

僕は、初見の模試問をその場で見て、解いていくときの僕の頭の中の働かせ方、解答用紙への書き方を詳しく示すことで、彼が真似できる形を模索して、相談しながら微調整してみました。いきなり、模試問題で新しいやり方をやるとリスクがあるので、読解の透視図で既にやった和訳でちょっと試してから、模試問題をやってみて欲しいと。

 

そして、結果を待ちました。僕はこれでだめだったら正直やばいなと思ってましたので、かなり追い込まれた気持ちでした。

 

しかし、結果は朗報でした。初めて最後までできたというものでした。

 

本当にほっとしました。

 

あとは、採点基準を意識して、点数をできるだけ搔き集めるだけです。

 

最初は僕が採点してましたが、途中からは、彼自身に採点基準を元に採点してもらいました。

僕は前職の合格者へのヒヤリングを通して、合格する人は、だいたい自分の答案でどれくらい点数がくるかという感覚を持てるようになっていることを知っていたので、その感覚を短時間ではありますが、磨いてもらうことにしたのです。

 

ただ、英作文の模試問題、過去問題については、自己採点をしてもらいつつも、難しい面も多いので、僕も採点をしました。そのうえで、できるだけ簡単なレベルの表現への逃げ方や、妥協の仕方を伝えました。

 

そして、受験の前々日には、なかなかの状態に仕上がったと感じました。

 

だいたい大問に1箇所くらい和訳でほぼ0点のところや、英作で、1、2文くらい0点のところが発生する可能性があることもわかっていましたが、その事実すらをも事前に伝えて、そうだったとしても総合点的にはokだから焦らないで、ということを伝えておきました。

あと、細かいことで言うと本番の英語の試験前は軽い長文を読んで英語脳にしておいて、英語が頭に入ってこないってことがないようにとアドバイスしておきました。

 

 

長くなりましたが、これが、ぼくが40日(38日?)で、彼に指導した内容です。

 

もし、本番で合格者の上位くらいの点数をとれていたら、僕も大いに自慢できたのかもしれませんが、そんなにすべてが上手くいくわけでもないのも入試ですね。

 

ただ、彼はこの期間のなかで、100パーセントがんばってくれたのは間違いないと思います。(うまくいけば、合格者平均に迫るくらいの力にはなっていたと思います。)

 

もし、この感じで半年でもやったら、英語で圧勝していたと思いますが、最後時間がなかったから頑張れた部分もあるんだなろうなと思います。

 

英語を頑張ったから受かったのか、英語をやらなかったら他の科目でもっといい点がとれてもっと余裕で受かったのか、それは僕にはわかりません。

 

でも、何が起こるのかはわからないので、せっかくやる勉強なら、すべてを生かすつもりで頑張って欲しいなと思います。

 

 

個人的には、稼ぐ科目は作っても、捨て科目なんて作らないようにして欲しいなとは思います。

 

彼の例からも、超苦手科目でも、やり方次第で、1ヶ月前後である程度勝負できるレベルまではあがるわけですから。(しかも、もっとも時間がかかると言われている科目の1つである英語で)

 

 

長くなりましたが、本当にこれで終わります。

 

 

多少、興心くんの個人的な内容が入ってしまってますので、申し訳ないのですが、1人でもこの内容を生かしてくれる人がいるかもしれないと思いますので、彼も許してくれるでしょう。

 

何か疑問などありましたら、コメント下さるか、直接聞いて下さいませ!(あくまで、僕は数学の先生ですが…)