記述力をつけるには?

昨日の数IAの授業で、ユークリッドの互除法の証明を出題しました。

こういった記述ができるようになるということは、数学ができるようになるために絶対に必要な過程です。

ですが、みんな大苦戦でした。

 

まず、設定ができません。

「自然数 a, b (a≧b)について、a を b で割って a=bk+l (l は整数で 0≦l<b) と表すと …」といった書き出しができず、いきなり「a=bk+lにおいて」などとやってしまうのです。

 

それから、倍数という言葉を使うとき2通りの立場があり、そのどちらの立場で議論をしようとしているのかを明記する必要があります。

すなわち、12 は 6 の倍数と言うとき通常は 6 を形成する素因数、この場合それは 2 と 3 ですが、それらをすべて12 がもっているという意味です。これが1つ目の立場で、6 の倍数とは 6, 12, 18, 24, … となります。

そうすると 12=6×2 となり、12 という整数が 6 という整数かける 2 という整数となりますが、この「整数Aが整数Bかける整数Cで表されるときAはBの倍数である」をもう少し広い目で見ると「AをBで割ると割り切れました」と読むこともでき、これが2つ目の立場です。すなわち、0, -6, -12, … も 6 で割り切れるので 6 の倍数だと見る立場です。

ユークリッドの互除法ではこの後者の立場に立っており、それが明記されていない解答は読みづらく、「分かっているのか分かっていないのか分からない解答」になってしまいます。

 

こういったことをいくら口で説明しても伝わらず、実際に書いてもらって「ここがダメだ」と言って突き返すという作業を何回かしないとまともに書けるようにはなりません。

もちろん、たった1回の授業で改善できるとは考えておらず、こういったチェックを何度もする必要があると思います。そうしながら本物の実力を身につけてほしいものだと願っています。