ショック療法

演習の効果を上げるには、できなかった問題をもう一度解き直すということが不可欠です。

これはつまり、解答を見て「なるほど」と思ったことが、実際には本当の理解ではないということです。

ためしに、解説を読んで納得したことをそれを見ずにノートに書いてみれば、すぐにそのことを知ることができるでしょう。

納得した直後であっても、書けないことが多いのです。

「あれっ、どうだったっけ?」ということが起こります。

これを経験すれば、まず解答の読み方が変わります。用心深くなるということです。

さっと見て分かったなどということがほとんど使い物にならないことを知り、自分の理解に対してそれが本物であるかどうかのチェックを入れるようになるのです。

 

以上のことはこのブログに何度も書きましたし、授業でも繰り返し伝えて来ました。

その結果、目覚ましく成長していく子が出て来ています。

私が見るに、数ⅡBの基本技術を身に付けて演習1の授業に参加すれば、3か月もすれば別人のようになります。

数ⅡBを一通り学んだ段階では基本的に「入試問題をすらすら解ける」とはなりません。もう少し正確に言えば、ほとんど動けないのが普通です。何から手を付ければいいのか、その発想を得るために頭はぐるぐると似たような思考を繰り返し、しかし見つからず、結局手は動かないのです。そうしてあっという間に15分ほどが過ぎます。これは入試では敗北を意味します。

この状態からスタートして、3か月もすれば手が動き始めるということです。半年もすれば、大半の基本的な入試問題をすらすらと解けるようになっています。

 

しかし、中にはいつまで経っても動けない子もいます。

なぜでしょうか?

 

それは、「納得した後に、自分でそれを再現してみる」という作業をしていないからです。

確かにこれはめんどくさい作業です。

だから、「分かったからいいや。きっと次はできるだろう」などと考えてしまうのです。

でも、そういう子ができるようになることはありません。

こちらから見ていればすぐに分かります。

あぁ、こいつはやっていないなぁ、と。

 

それで昨日は2人の子に名指しで「君はやっていないだろう!」と迫りました。

彼らは一様に「いや、やっています」と答えていましたが、やっているはずがありません。

そういうやり方を続けるのは時間の無駄です。10倍ぐらいの努力をして初めて人並みの成果をあげるようなものです。

もしやっていれば、問題が解けるかどうかは別として、最低限、動けるようにはなっているはずです。なのに、3月からスタートしてもう10月に入っているのにまだ堂々巡りから脱出していないのであれば、イロハの技術が身に付いていないということで、これまで勉強して来たことをざるのようにこぼしまくっているということです …。

 

誤解のないように書き加えておきますが、いつもいつもこんなふうに激しく生徒に迫っているわけではありません。

基本は、楽しく学ぶということを心掛けています。

しかしそれだけだと、こちらのアドバイスを軽く聞き流すというか、「いい話だったな」と思うだけで実行に移さない子が出てきてしまうので、ショック療法として厳しい面も必要だと考えているということです。

 

まあ、頑張ってほしいですね。