中学数学で大事なこと
高校数学に入っていく上で、中学数学を通して身につけておくべき重要なことを書きたいと思います。
それは、「代数の基礎」と「幾何を通して思考のトレーニングを積むこと」です。
代数の基礎とは「計算の処理が速く正確であること」と「日本語で書かれた条件を数式で表す能力」です。
少し具体的に書きましょう。
(3x^2-2x+4)(5x^2+3x-2) を展開するとき、分配法則を使って計算すると、それぞれのかっこの中に3つの項が含まれるので、9回の計算をしてまとめることになります。
(3x^2-2x+4)(5x^2+3x-2)=15x^4+9x^3-6x^2-10x^3-6x^2+4x+20x^2+12x-8=…
てな感じです。
しかし、これはいかにもダサいので、次のように考えます。
2次式と2次式をかけるので4次式になる。4次の項は 3x^2 と 5x^2 をかけることによって得られるので 15x^4 になり、3次の項は 3x^2 と3x をかけたものと -2x と 5x^2 をかけたものの和なので (9-10)x^3=-x^3 となる。以下同様に考えて x^2、x の係数と定数項を調べればできあがり。
結局、計算は1行で済みます。
これを素早く正確にするのです。
もう一つ例を挙げます。
(a+b)(a-b)=a^2-b^2 を「和と差の積は2乗引く2乗」と覚えます。
では (a+b-c)(a-b+c) はどのようにして展開すればいいでしょうか?
もちろん、9回の計算をして、それを整理するというようなやり方では遅すぎて話になりません。
それから b-c=x とおく。すると (a+b-c)(a-b+c)=(a+x)(a-x)=a^2-x^2=a^2-(b-c)^2=a^2-(b^2-2bc+c^2)=…
とやるのも冴えません。
b-c=x などとおかずに b-c が一かたまりだと見えるようになってほしいのです。
ですから、いきなり (a+b-c)(a-b+c)=a^2-(b-c)^2 とします。
こういう基本的なやり方は最初に習うのですが、時が過ぎると、あるいはもう少し複雑な処理が要求されると、また初心者に戻ってしまう諸君がいます。
少しでも楽に、そして正確に処理したいと考え続けていれば、勝手にそうなるはずです。
中学数学で身につけておくべき基本事項「代数の基礎」と「幾何を通して思考のトレーニングを積むこと」のうち代数の基礎の例だけ挙げておきました。
ちょうど昨日、息子もチューターとして入っていたので、帰宅後、誰それは伸びそうだ云々といった話をしたのですが、彼が言うには、代数の処理能力を見ればその後伸びるかどうかが分かるということでした。
そうかも知れません。