人が見えていないものを見る

昨日、上田氏のことについて書きました。

彼とは同じ年令、同じ大学、同時期にテニスを始めた、… 等の共通点があり、テニスのライバルとして競りに競っていました。

あるとき、そのときは私がかなり優勢だったのですが、京都市テニス選手権の試合で対戦することになりました。

当然、私は勝つつもりでいたのですが、彼が試合前に一言。

「イナリさん、明日の説明会、生徒集まってるか?」

そうなんです。この試合、説明会の前日だったのです。

私は乱れました。まるで集中できず、何の抵抗もできないまま敗れ去ったのです。

 

くっそぉ~。

 

今思い出しても悔しくて仕方がありません。

これに限らず、彼は人の心理を操るのが抜群にうまいのです。

 

たとえば、はるか格上の高校生なんかによく勝つものですから、その方法を一度尋ねたことがありました。すると彼曰く

「簡単やで。コートチェンジのときにすれちがうやろ。そのときに『もっと大きい声でコールしてくれるか?』と言うねん」

そりゃ相手は乱れますよね …

ルール上、サービス側がポイントを相手に聞こえるようにコールすることになっているのですが、なぜかジュニアの間ではほぼ無視されているルールです。

ここを突くのです。

暗に、君はルール違反をしているよ、と指摘しているわけで、これを上田氏のようなガタイがでかく、いかつい顔をしたおっちゃんに言われると、ジュニアは動揺するのです。

実は私も一度だけこれを試したことがあります。

オータムの決勝で相手は中3の子でした。1ゲーム闘っただけで向こうが上だと分かりました。

そこで、1ゲーム終了の時点でこの必殺技を出したのです。

「あの、風邪気味で喉が痛いんです …」

効果はてきめんでした。学校の先生に悪さを咎められた小学生のように、明らかに委縮していくのが見て取れました。

その後は終始私がゲームを支配し、優勝することができました。

 

しかし、こんな方法、普通の人は思い付きませんよね?!

どんな分野でも、人と違うものを見ている人が存在します。

ビジネスにおいて、上田氏はそういう人です。その技術をテニスに応用したのが上に書いた方法です。

ただし、友だちをなくすかも知れないので、よい子のみんなは多用しないように注意しましょう。