光陰矢の如し
「頭のいい子には中学受験をさせるな」の続編を書くことを検討しています。
それで昨日、 原稿を読み直してみました。
これは2013年12月25日に出たので、9年ほど前の本です。
9年って、長いんですねぇ!
というのは、書いたこと自体を忘れているような部分がいくつもありました。
その中の1つで、松谷君の話題が出ていて、びっくりした部分があるので紹介します。
ここでは松谷君はT君になっています。
では、どうぞ。
ここで、稲荷塾卒業生のT君の声を紹介します。
T君は洛星高校(京都市の私立進学校)から現役で東大の理Iに入り、大学院では仮想空間の技術を研究していましたが、卒業後はベネッセに勤めることになり、現在は高校生のための英語の教材を作っています。
その仕事柄「小さな数学塾のヒミツ」はT君にとってとてもおもしろかったようです。
「英語にはカリキュラムはあってないようなものなんですよ」
英語は数学以上にいろんな学び方があって、模擬テストの優秀者の欄を見ても、公立の子がトップだったり、相当にばらけています。
それに対して数学は必ず灘の子が上位を独占するということで、どうしてなんだろうとずっと疑問に思っていたそうです。
「初めて分かりました」
T君は高1から稲荷塾に通い始めましたが、そのときはまだ「画期的カリキュラム」(「灘型」のこと)は実施する前で、洛星の進度通り彼は中3で数IA、高1で数IIB … と学び進めたのでした。
彼の言葉の響きから「英語では負けなかったのに、数学だけは頑張っても頑張っても灘の子に追い付けなかったのは、能力の問題じゃなくてシステムの問題だったのだ」
とすごく納得している様子が伝わってきました。T君はかなり余裕を持って理Iに受かったのですが、それでも数学では灘の子にかなわなかったことが悔しかったのだろうなぁと思いました。
ともあれ、受験という競走を常にトップ集団に属しながら非常にうまく走り切り、そして今その受験のための教育の現場にいるT君が、稲荷塾の「画期的カリキュラム」を肯定的に評価したわけで、これは私にとって一騎当千の援軍を得たように感じました。(稲荷塾のホームページ上に連載している「塾長奮闘記」の中の「5.17 やっぱり画期的『画期的カリキュラム』」より)
実際のところ、高3になって受験勉強を始めてみれば、そして東大を受けるぐらいのレベルに来てみれば、「灘型」の良さがよく分かるようになると思います。そういう意味でT君には、私が主張していることがよく伝わったのだと感じました。
一般の中高一貫校のカリキュラムに対して「灘型」の方が圧倒的に有利であることは本当の話です。現場にいて感じるのは、中2から高校数学に入るのと、中3から高校数学に入るのとでは、丸1年余分に勉強するかしないかぐらいの差があるということです。
その後、松谷君は稲荷塾で働くことになり、そして来年度から独立します。
時の流れを感じますねぇ!
話を元に戻して、「頭のいい子には中学受験をさせるな」には稲荷塾の反転授業のことが入っていません。続編を書きたいと思う一番大きな理由がそこです。
今やそれが稲荷塾を最も特徴付けているものになっているので。