東大でのVR研究について聞かれたので答えた

松谷です。

東大に興味がある子がいたので、本当にただの一例として自分が大学というか大学院で研究してた内容と大学の様子について話しました。(ちなみに学部のときにはまた全然別の研究をしていました。)

 

別に、自分はそんなにすごい研究が出来たわけではないし、正直研究成果としては凡庸なものでした。でも、後の教授など偉大な優秀な人の研究ではなく、ひとりの普通(イマイチ?)の大学生や大学院生がやるような研究がどんなものなのか伝えることで、そんなのでも何か生徒に役に立てばいいなと思ってお話ししました。それだけです。ひけらかしたいという思いはゼロですのでご容赦ください。むしろ恥を晒すような感じかもしれません。。

【研究のきっかけ】

僕はテニスのフォアハンドの調子が大学に入ってからものすごくばらついてしまって考えれば考えるほど沼のようになってしまって、ずっと上手くいかないという感じでした。

ただ、それでも団体戦などにレギュラーとして選ばれたりしてしまうと勝たねばならぬ状況になります。周囲からのプレッシャーを過度に感じ取ってしまい、なんとかせねばならぬと思って、いろんなアドバイスを周りの人にもらったり、コーチや先輩、自分より上手い後輩から習ったりしました。

時には、インターネットで見つけた神戸くらいに住んでる見ず知らずの信頼できそうなコーチにアポイントをとって青春18号切符を使って電車を乗り継いで会いにいったりといったこともあったりそれくらい悩んでいたんですね。

あっ、分かった!と思っては崩れ、あっ今度こそ分かった!と思ってはやっぱり違ったみたい。。みたいなのを繰り返していました。そして、結局なかなか解決策は得られなかったんですね。苦手なママというか。

でもある時気づいたんですね。調子がよかったり悪かったり繰り返してるけど、調子がよいときには既にミニストロークの時点で打球の感触が違うということに。しかも、その感触自体はいつも同じなんですね。

はっきりいってフォーム自体はかなりわずかな差なのに、感触ははっきり違うんですね。テニスボールをうったときに、自分の手や腕、肘、たぶん脳に伝わる感触が。なぜなのかを知りたくて、調子の良いときと悪いときの様子を、ある程度粗い携帯電話のコマ送りの連続写真機能を使って比較しました。そのときはまだ携帯のビデオ機能がなかったのでね。でも、やっぱりイマイチわかりませんでした。

うーん、なんでだろと。

フォームやボールとラケットの接触の仕方(スピード?角度?)でどのようにこちらに入ってくる応答としての違いが出てくるんだろうか。そんなテニスボールみたいな🎾柔らかいボールを打つときにどんなことが起こってるのだろうか。ただ力積を与えてボールを飛ばし、作用反作用でこっちに返ってくるだけみたいな物理現象だけちゃうんかみたいな。

【テーマ決め】

本当は上のテーマそのものをやれれば良かったんですが、教授や助教授との話し合いの中で、自分がある程度短い時間でできるもののなかで、先行研究と少し違った切り口(新規性)がある部分はあるのかということで、テーマを探っていきます。英語や日本語の論文を何本か読みながら。まあ、たいてい想像つくようなことは研究されちゃってるんですね。あと、そこまで模範的ではない学生である自分には、壮大すぎる感じのところに踏み込んで形にできる気もしませんでしたというのが本音です。

そうこうするうちに、もうちょっと簡略化して、「柔らかいものを触ったときに感触はどうゆう風に感じられるのか」というような感じのテーマになり、さらに、「実際にものがないかったときに、柔らかいもの(プリンとか)を触ったときのような感触を与えるにはどのような応答を返せばよいか」という感じになり、「コンピュータに繋がれたペン先を手に持ったときに、どのように動かしてやれば実物の柔らかいものを触った感触が与えられるか」という研究になっていったわけですね。

だいぶ変わっちゃいましたね。。原型を留めていないような。。(まあ、それでもネットショップとかで、柔らかいものの質感を遠隔で再現したりするのに使えますけどね。ペットや子供を撫でたような感じを出したりね。)

【研究のだいたい】

まあ、もう長くなってきたので、興味もないと思いますから、はしょってかきます(笑)

実際の柔らかいゼリー状のものに、インパルス応答(上から機械で、デコピンみたいに押してあげる)を与えたあとのゼリーの形状の変化を、複数台カメラでモーションキャプチャみたいな感じで追いかけて、そこから得られた三次元座標データの変位の様子をプログラムに入力して、それを元にその変位をペン先に与えることで柔らかい感触が再現されるかを確認して、といった感じのことをしてました。

もちろんこれくらいの処理でもなんかいろいろ上手くいかなかったんですね。複数のカメラ画像は所詮二次元座標データの集まりなので、それに行列の変換をかけて三次元にするのですら四苦八苦してました。また、プログラムも全然分かってなかったからC言語を一から勉強して、なんかバグを解消して、もっともらしいものが得られるまで、いろいろとインパルスの力を調整してとかいったことを試行錯誤してましたね。学会で発表するのとかでも、慣れなくて助手の人とかにお世話になってました。ほんと。中間発表とかでもいっぱいダメ出しされましたね。。

 

 

はい、終わりです。

うん、20年前ですが、ほんと大したことしてませんね笑 反面教師ですね笑

ちゃんと実力のある院生はもう少し良い研究をしていましたよ!ほんとに!大学院の研究でテレビとかに取り上げられてる人もいましたしね!

 

 

僕自身は、研究方面でずっとやっていくには、モチベーションや能力?執着心?なども足りないなと感じましたし、一般に大学での研究が世の中へ実用的なものとして伝播していく5年とか10年といったタイムラグが自分としては熱意を傾けにくいものなのかなという感じがしたというのは事実です。

今の小中高生とかかわれる仕事をして、自分が働きかけた何かで何らかの反応が得られる仕事をしているのは幸せですしね。

 

でも、一方で、嬉々として研究を進めて新しいことを切り開いている研究者の人たち(大学でも企業でも)のことは、自分には出来なかったことをされてるなと思いとても尊敬しています。

 

まあ、大学入ってからが勝負ですから、稲荷塾生には勉強に遊びに精一杯大学生活を送って欲しいですね!

 

 

思うに、世の中にはほんと成功体験しか転がってないんですよね。特に社会人になったら自分をできるだけ価値のあるものに見せかけて誰かに買ってもらうというのが基本になってきます。そうすると、失敗談が表に出ないんですね。失敗しても、それをきっかけに大成功みたいなね。

それに比べて僕の上の体験談はthe 失敗談ですね笑

教授や准教授の人が、生徒の親御さんや身内にも結構いますから、恥ずかしい話ですけどね。

でも、まあ、生徒の1人にでもなんか役に立てばいいですね。反面教師でも全然okですしね。

 

では、ここまで読んでくださった方はお疲れさまでした!!