小規模塾の道

先日、広告代理店からの営業があり、新聞に堀川の入試問題とその解答が載る日があり、そこに広告を出さないかという案内でした。

いいのではないかと思いましたが、よくよく聞いてみると、入試問題とその解答の下のところの枠は大手塾が買い占めていて、別のページへの広告を勧めていることが分かりました。

むっとしましたねぇ …

要するに、注目度が低く、広告の出し手がないところを埋めようとしていることが見え見えだったので。

 

しかし、これを機会にいろいろと考えさせられました。

 

大手は宣伝力があります。

昔、洛星や洛南の合格発表の日にチラシを配りに行ったことがあります。でも、それはマイナスの効果しかないことが分かりました。なぜって、そこに集まって宣伝しようとしている塾と稲荷塾では合格者数がまるで違うからです。人は合格率などは計算しません。合格者数を見るのです。たとえば鉄緑だったら京大の医学部だけでも2桁受かっているのに稲荷塾は東大・京大・国公立医学部全部を合わせても2桁に届いていないのです。これを見比べると稲荷塾が貧弱で怪しい塾に見えてきます。おそらく、今では稲荷塾を怪しい塾だと思う人はいなくなったと思いますが、当時はそのように見えたはずです。

それに、大手と稲荷塾では宣伝に使える資金に大きな違いがあります。堀川の入試問題の下の枠を買い占めると100万円以上になりますが、大手の場合、そんなことが平気でできるわけです。

もちろん営業力もあります。有利な情報がすぐに流れてくるようにもなっています。上に書いた新聞広告の情報にしてもそうです。

さらに大手同士のつながりもあり、たとえば馬渕から堀川や北野に進むと東進衛星予備校に行くように勧められます。

こういった力を持たない稲荷塾は歯がゆいぐらいにゆっくりと成長してきました。

 

正直言って悔しいのですが、案外、このゆっくり成長するのがよかったかも知れません。

力以上に規模が拡大すると、後付けでノウハウを探すことになります。そうなると、急成長して空中分解するというようなことが起こります。この例はいくつか思い浮かびますが、有名どころでは「私塾」なんてのもありました。

 

こんなことをうだうだと考えながら、結局、情熱を感じることに力を注ぐのがいいと納得しました。