松谷君はオタクか?

松谷君はオタクでしょうか?

完全にオタクです。

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私のようなノーマルな一般人から見たとき、疑う余地なく完璧なオタクです。

まあ、ベネッセに勤めていたときに英語と数学の教材を作っていたという経緯の影響はあるでしょうが、あらゆる参考書や問題集について隅から隅まで知っています。

 

これに関する最近の出来事を書いておきます。

私にとってチャートはあまり嬉しくない存在です。なぜって、その営業力にものを言わせて高校の副教材として使われることが多いからです。結果として「稲荷の独習数学」と比べた場合、発行部数が桁違いになるのです。

ところが、その占有状況がこのごろは変わって来たそうです。多くの進学校では「青チャート」から「フォーカスゴールド」への切り替えが行われているらしいです。要するにフォーカスゴールドの出版社の営業力が数研のそれを上回ったということです。(by 松谷)

そのフォーカスゴールドとはどんな本かと言えば、一番詳しいとされており、数ⅠAだけでも「稲荷の独習数学」より太いらしいです。(by 松谷)

まあ、私としてはひがみますねぇ …

だから、ちょっとけちを付けたいと思います。

先日、フォーカスゴールドのここの説明が分からないという質問を受けました。パラメーター表示された曲線の概形を描く問題でしたが、その説明は明らかに変でした。変なだけではなく、なぜそういう発想になったのかがまるで不明で、これじゃあ高校生が読んで分からないのは当然だと感じました。

それで松谷君にフォーカスゴールドってどうなのかと尋ねたわけです。そのときの説明は上に書いた通りで、おおむね肯定的な評価でした。

 

う~む。

 

でも、なんでそんなに分厚い参考書になったのでしょうか?

 

これは「演習」についての考え方が違うのです。

一口に演習と言っても、その目的で分類して2種類の演習があります。

一つは新しく習ったことを理解するための演習です。たとえば余弦定理を習ったとして、それに関連する問題を解くことによって余弦定理がどのような場面でどのように使われるかが分かり、具体的なイメージを伴って余弦定理を理解することができるのです。

もう一つは、全範囲を学び終えてからする演習です。数ⅠAから数Ⅲまでさまざまなことを学びますが、当然ながら重要なこともそうでないことも含まれます。覚えてさえいればいいこともあるし、いや、もっと言えばそういうことを学んだということを把握しておくだけでいいようなこともあります。そしてしっかり証明できるぐらいのレベルで理解しておくべきようなこともあるのです。ざっと一通り学んだことはほとんど定着していません。場合によっては学んだこと自体を覚えていないようなこともあります。これを再び構築し直すのです。それぞれの重要度を確認しながら。この過程を通して全体像が明らかになり、相互のつながりなども分かってきます。そうして学んできたことが使いこなせるようになるのです。

ですから、一通りを学ぶ過程においてはこってりとした演習をすることに価値はありません。どうせ忘れるので。そこでは骨組みと流れが理解できればいいのです。

「稲荷の独習数学」はその骨組みを作ろうとする参考書です。網羅性はありません。

これに対して、チャートやフォーカスゴールドはその網羅性を追求しています。そして多くの高校では「新しく習ったことを理解するための演習」に重点を置きすぎているので、こういった参考書をよしとします。

しかし本当は、「新しく習ったことを理解するための演習」をもう少し軽くして、「全範囲を学び終えてからする演習」のための時間を長くすべきです。その方が圧倒的の効果的だからです。