数学魔術師ベンジャミンの教室
本を紹介します。
「目のくらむような楽しさが味わえる」と書いてありますが、それは大袈裟過ぎます。
でも、ところどころにオォッ!と思うようなことが書いてあり、読んで楽しかったので、塾の貸し出し用本棚に置いておきます。
話題の範囲は算数から高校数学までかなり広いのですが、一応代数が扱えないと意味が分からないので、ある程度中学数学を学習した生徒が対象になります。
さて今回はその中から、特に印象に残ったことを一つだけ紹介しておきます。
nC0+nC1+nC2+・・・+nCn=2^n
の意味は、「1、2、3、・・・、n を A、B 2グループに分けるとき、左辺は A グループに注目し、ここに入る数字が0個の場合、1個の場合、・・・n 個の場合と場合分けして数えており、右辺は1、2、・・・、n それぞれに注目し、A または B の2通りずつあるので 2^n 通りだ」と主張しているのです。
これは誰でも知っている内容ですが、
nC0+nC2+nC4+・・・
のように右側の添え字が偶数のものばかりを足して行っても
nC1+nC3+nC5+・・・
のように奇数のものばかりを足して行っても、その結果が 2^(n-1) になるのはなぜでしょうか?
たとえば
6C0+6C2+6C4+6C6=6C1+6C3+6C5=2^5=32
ですが、これはどういう意味でしょうか?
これまで私が授業で行って来た説明は以下の通りです。
「二項定理
(a+b)^n=nC0a^n+nC1a^(n-1)b+・・・+nCnb^n
の両辺で a=b=1 とすれば
2^n=nC0+nC1+nC2+・・・+nCn
となり、a=1、b=-1 とすると
0=nC0-nC1+nC2-nC3+・・・+(-1)^nnCn
となるが、これらの辺々を足して2で割ると
nC0+nC2+nC4+・・・=2^(n-1)
辺々引いて2で割ると
nC1+nC3+nC5+・・・=2^(n-1)
だから、右側の添え字が偶数のものばかり足して行っても、奇数のものばかり足して行っても同じ結果になる」
でも、そこに意味を持たせることはできませんでした。
ところが、これを以下のように簡明に説明してあったのです!
「1、2、3、・・・、n を A、B 2グループに分け、A に偶数個の数字を入れるとすればその分け方の総数は
nC0+nC2+nC4+・・・
のように右側の添え字が偶数のものだけを足して行くことになる。
一方、これを 1、2、・・・、n-1、n
の一つずつに注目すると 1 から n-1 までは2通りずつあるが、その段階で A に偶数個入っているか、奇数個入っているかによって n はA に入るか B に入るか1通りに決まってしまうので、その総数は 2^(n-1) 通りになる」
オォッ!