新学習指導要領案~文系からベクトルが消える?~

松谷です。

新しい高校数学の学習指導要領案が出されました。

だいぶ先ではありますが、まずは、改訂スケジュールから確認してみます。

改訂スケジュール

こんな感じです。

改訂か

小学生は、32年度(2020)から全面実施、中学生は、33年度(2021)から全面実施、高校生は、34年度(2022)から年次進行で実施ということでした。

高校数学の新指導要領初年度の人は、今小5で、4月から小6の人ですね。ふむふむ。少し先ではありますが、稲荷塾は、小3から高3まで幅広くいらっしゃるので気になるところではあると思います。

 

 

そして、ひとまず先に出されている、中学、小学の学習指導要領については、

小中学校の学習指導要領

ここに掲載されています。学習指導要領自体はだいぶ詳しい文言で書かれているなという印象ですが、全体で学習する内容自体は、正直あまり変わらないなという印象です。もちろん、文部科学省としては、数学の知識や技能を獲得するだけでなく、思考力や表現力を得て数学を実際の場面で活用していくということは意識していきたいのだとは思いますが、正直そんなにドラスティックな変化ではないと感じます。ただ、中2のデータの活用のところで、箱ひげ図や四分位範囲のなどの現数1Aの内容が少し入っていることに意図を感じます。(まぁできる生徒は30分くらいで学べる内容ですがね。。。)

 

そして、その不穏な(?)意図も反映しつつ一番大きく変化しているのが高校数学ではないでしょうか。

高校学習指導要領改定案

高校数学学習指導要領改訂案

上にリンクを掲載しておきます。

さて、かなりトピックがありますが、目についたのは、以下のようなところです。

トピックも多いので、それぞれについて僕の個人的な簡単な意見とともに書きます。

 

数学Cが新しく設置。

数C入れたり消したり何したいんだろ。

 

ベクトルが数Bから数Cに移動。(すなわち文系はやらない。)

これは本当にやばいと思います。まず、ベクトルをわかっていないとよく理解できないまたは面倒くさくなる図形と方程式の内容がかなりあります。(直径型の円の方程式やら、接線の方程式やら、直線の一般形の意義やら、点と直線の距離やら。。。。)また、これにより、文系は空間を扱うすべを封じられたということに近いと思います。もちろん、中学数学で空間図形やっているじゃないかということはできますが、そんなひらめきだよりの幾何的な方法しか残されていないとしたら、標準的な文系受験生は憤死でしょう。さらに、ベクトルが扱えないということは、物理の力学の初歩の初歩が意味不明になってしまうので、数3Cまでいかないとわからないことになってしまい、高3から数3cを学ぶような学校では、物理の勉強も厳しくなります。う~む。しっかり精査はしていきますが、今の感触的には、指導要領に関係なく、文系でもベクトルをやったうえで、図形と方程式を学習した方がいいような気はします。

 

数Ⅰのデータ分析に仮説検定の考え方が入った。数Bに統計的な推測が実質必修?として入ってきた。今まで一部の人しか選択しなかった内容を皆が学ぶことになる。(確率変数確率分布、二項分布正規分布を学び、正規分布を用いた、区間推定、仮説検定についても学ぶ。信頼区間、有意水準など。)

本当に、文科相はデータ押しですね。これは、産業界の要請なんでしょう。文系はベクトルを理解するよりは、社会のマーケティングなどで必要になりがちな、有意差とかそういったところを理解しておけって話でしょうか。もちろん僕も大学の統計の授業とかでやりましたけど、さらっとテスト対策して終わらせただけでしたね。。。ビジネスの場で、上司やクライアントを説得するために、統計の知識が必要というのは理解はできますが、別にコンピュータでできることではありますがね。原理を理解するべしということでしょうか。

 

④すべての分野に関して、日常と数学のつながりを重視。

まぁセンターの新テストを見ても本当にこれを重視したいという感じです。ただ、別に、数学的な知識とちゃんとした考える力があったうえで、問題を普通に読み取ったら、活用できるものなんですけれどね。。。

 

⑤ほとんどの分野について、コンピュータと数学とのつながりを重視。

学校の授業を想定しているのでしょうか。二次関数とか軌跡とかとにかくコンピュータでグラフなどを描画したいという感じですね。まあ、動いた方がわかりやすいですけれど。それで生徒の中に何か新しいことが起こるかは不明です。まあ、プログラミング教育というか情報教育が必修になっていますから、そことの連携というイメージでしょうね。

 

数Aの整数の性質が消えて、数学と人間活動が代わりに設置。

整数なんで消したのかな。ただし、一応、数学と人間活動の中に、整数の性質のだいたいの内容は含まれていますね。約数倍数、p進法、ユークリッドの互除法など。不定方程式は表面上は消えたのかもしれません。ただ、この辺りは、もともと学校の内容になかったけれど、入試には出ていたという分野で、おっ学校の教科書にも出てきたなぁと思っていたところでした。ということで、入試には引き続き出続ける気がします。その場で考える力を見るのにちょうどよい問題が出しやすいですからね。あと何か、パズルなどに数学の活用するということを言っていますね。大学入試でもたまに、数独とかナンプレみたいな感じの話出てますもんね。

 

数Aに期待値が戻った。

よかったですね。期待値ないと意味不明ですもんね。そもそも、なんでその前の指導要領で出したんだろ。条件付き確率を入れたから重いと思ったのかな。

 

新数Cの内容は旧数Cの内容(複素数平面と、二次曲線、極方程式)に加えてベクトルとなった。

ベクトルも移動してきたことで、数3と数Cの内容が重くなったということになりますね。もし、高3から数3Cを始める学校はもう受験に受からせる気はないということになりますね。現行の入試スタイルならば。というか、理系の人にとっては、入試に出うる範囲はまったく減っていなくて、統計の分、増えてますね。

 

数Bの数学と社会生活、数Cの数学的な表現の工夫の役割は読み切れない。

数Bの数学と社会生活は、結局数学の日常への活用なわけであまりこれだけで意味があるか不明です。数Cの数学的な表現の工夫のところに行列という表現が入っているのが少し気にはなりますが、本格的には行列は扱わないのではないかなと思います。それまで扱ったら、数3Cの内容が重すぎる気がします。。

 

理数という科目が設置

数学とは、ちょっと違いますが、理数という科目が設置されました。これは、大学以降社会人以降で、未知の問題を探求していける、理系マインドをもった人を育てる感じでしょうか。実験をしたり、目標を定めたり、仮説を立てたりといった、基本的な理系リテラシーを磨いていくという目的のようです。でも、この科目は各学校の実施の仕方が分かれそうですね。大学入試のあり方によって、各学校もやり方を変えそうな気がします。

 

う~む、かなりトピックが多かったですね。

 

稲荷塾の動きとしては、迷うところも出てくると思いますが、演習問題に少し日常活用の問題を入れつつ、データ統計系の分野を足すみたいな処置ですかね。ベクトルは教えることを基本にしつつ。稲荷先生と相談しながら研究しつつ決めていきたいと思います。