授業効率・授業効果の2倍化(続き)

一般の数学の授業には無駄が多く、それを省くことが「授業効率・授業効果の2倍化」への第一歩でした。

ここでのポイントは「分かりやすい授業を聴く」ことと「それが文書化されたものを読む」ことに授業効果の差異がないということです。

もし、両者に差異がないのであれば、板書とそれをノートにとるという作業がない分だけ「読む」方が効率的だということになります。板書とそれをノートにとるという作業の時間は授業時間の相当の部分を占めていますから。

この発見によって授業効率は劇的に上がりました。

しかし、「授業効率・授業効果の2倍化」に成功したポイントがもう1つあります。

これを書く前に1つ質問があります。

新しく学んだ知識を飲み込むことと、それを定着させることとどちらが難しいでしょうか?

おそらくほとんどの講師がこの点を誤解しています。

以前、本を書くための取材に洛星に行ったとき、「洛南は授業効率を上げるために予習を課しているが、洛星ではそういう方法を考えはしないのか?」という質問をしたことがあります。

取材に対応してくれた洛星の先生は「生徒が学ぶことの最初の説明が私の授業であってほしい」と答えたのです。

つまり、この先生は授業効率より、生徒が新しい知識を得た驚きと感動を共有することを重視すると言ったわけですが、多分、これが主流の考え方だと思います。

ですが、事実は、新しく学んだ知識を飲み込むことより、それを定着させることの方がずっと難しいのです。

なぜでしょうか?

まず、教室で新しい知識を学び、家庭でそれを定着させようとしているからです。

家庭での学習は誰が見ているというわけではなく、自己管理で実行しないといけないからです。当然ながら、疲れているときや忙しいときにはさぼってしまおうと思うのです。

そして、定着させることが難しい決定的な理由は、自分の理解のどの部分が甘いのかに気付くことが非常に難しいということです。

ですから、通常はたくさんの演習をする中で徐々にその甘い部分にも気付くことになり、定着して行くのです。

これは根気の要る作業です。

稲荷塾ではこの難しいところを教室で行います。

授業の最初に行う15分の小テストで理解が甘くなりそうなところをブスブスと刺します。しっかり予習し、十分に分かったと思っていたとしても「うっ」と詰まるような問題にしているということです。

これを経験すると生徒は用心深くなり、予習のレベルが上がります。

そして、これを確認した後に演習をすることで、非常に効率よく定着の方向に向かいます。

また、一斉授業でありながら個別指導のように個々の課題に向き合うことができるところも稲荷塾の反転授業が優れている点です。

以上により、授業効率・授業効果の2倍化に成功しました。

 

これによりどんなことが起こるのかについては、また後日、書こうと思います。