演習期間が2年必要な理由

昨日の続きです。

今日は演習期間が2年必要な理由について書きます。

まず確認ですが、ここで言う演習期間というのは高校課程を修了してからの演習期間のことです。

演習には、習ったことを理解するための演習と、それを使いこなせるようにするための演習の2つがあります。

たとえば、余弦定理を習ったとして、それを使って解くような問題で演習するのは前者です。そうすることによって、余弦定理の意味を深く理解し、どのような場面で使われるかが分かるようになります。

これに対して、全体を学び終わった後にする演習は後者です。これにより覚えておくべきことが何かを把握できるようになり、他分野とのつながりも分かって来るようになります。

今、話題にしているのは後者の話で、堀川や北野では半年、中高一貫校では1年、灘では2年間をこれに充てているということです。

では、なぜこれに2年間が必要であるかを説明しようと思います。

端的に言って、京大・東大の問題が難しいからです。

数学の問題は何らかの条件が設定されていて、何かの値を求めたり、何かを証明したりするという目標が与えられています。この「条件」と「目標」をつなぐ作業を「問題を解く」と呼んでいます。

標準問題では「条件」と「目標」の距離が近く、解くための知識と技術があれば、すぐに方針が立つようになっています。

ところが、京大・東大の問題では両者の距離が遠く、容易には方針が見えて来ません。両者の距離が遠い形態はいくつかあり、問題文が複雑でこれを整理しなければならない場合、テーマが抽象的で具体例で考えてみなければ何を言っているのかが把握できない場合、結論がぼかされていて何に向かって進めばよいのかが分かりずらい場合のようになっています。いずれにしても、「どういうことですか」と問題に問い返し、その意味を把握し方針を得るために「調べる」という作業が必要になり、受験生たちはこれを難しいと感じます。

京大・東大の平均的合格者で、この「調べる」という技術をマスターするのに1年ぐらいかかるのです。

すると、その前に入試問題を解くために必要な知識と技術をマスターしておかなければならず、「調べる」という技術をマスターするための1年が高3の1年になるという都合上、入試問題を解くために必要な知識と技術を習得するのは高2生がするべき作業になるのです。

もし、高3生が集中して取り組めば3カ月程度で身につけるものだったとしても、そこまでの臨場感のない高2生ではどうしても1年かかってしまいます。

結局、演習期間は2年間必要だということになります。

 

もちろん、高3になってからこれらすべてをこなすことは可能です。ですが、それをしつつ理科にも時間をかけるとなると、かなり大変で、「命懸け」になるということです。

ですから、高校受験をした場合は、できる限り新高1の段階で稲荷塾に来てほしいです。そうすれば圧勝する方法を伝えることができると思います。

それが高2になると、かなり本気で取り組まないといけなくなり、高3だと「命懸け」になるということです。