反転授業の実際

反転授業により、授業効率が劇的に上がりました。

具体的には、指導要領により1年ずつで学ぶように推奨されている数ⅠA、数ⅡB、数ⅢCを半年ずつで学ぶことができるようになりました。

2倍の進度で進めるようになったということです。

しかも、成績は落ちませんでした。むしろ、若干ですが、上がりました。

しかし、中2から数ⅠAに入ったとして、半年ずつで進級して行くと、進み過ぎが懸念されます。

そこで、進級基準を厳しくしました。3回の単元テストの平均点が50点以上であれば次のクラスに進めると決めたのです。これは、数ⅠAから数ⅡBであれば、河合塾の全統高1模試で偏差値70程度に相当します。数ⅡBから数ⅢCであれば、全統高2模試で偏差値70程度です。

このように決めることにより、中学生で半年ずつで次のクラスに進める生徒が激減しました。

次のクラスに進めない場合は、同じクラスをもう一度とることになります。そうすることにより、上記基準を越える確率がかなり上がりました。

反転授業では、授業の効果を出すために予習のレベルが高いことが重要になります。

まず、「最短でマスターする数学」を読んで理解すると、それに対応するテキストの部分を解きます。「分かった」ということと「できる」ということは大きく異なり、参考書を読んで分かったと思っても、実際に問題を解いてみると、理解が甘かったところや、覚え切れていないところが露わになります。そういう部分を潰して来るのが予習で、そのレベルが高い方が授業効果が出るということです。

ところが、1回目の履修においては、「テキストの問題が解けないときに解答を読んで納得したらオーケー」のようにして進めてしまいやすいのです。

これで合格点が取れないで、2回目の履修になったときに、何とか自力でテキストの問題を解こうと粘り始めるのです。すなわち、テキストの問題が解けないときに、すぐに解答を見るのではなく、「最短でマスターする数学」の中に似たような例題はないかと探して、その解説を読んだりするのです。

このように予習のレベルが上がると、理解度も上がり、結果として上に書いた基準をクリアしやすくなるのです。

ところで、2回同じ範囲を学ぶことに抵抗を感じる生徒はいないのか、と疑問を感じる方もおられるのではないでしょうか。

事実上、これはありません。

もし、1年ずつで進んで行くのであれば、「不合格だからもう一度」には大きな抵抗があるでしょう。

しかし、半年ずつで一通り学ぶので、2回やったとしても1年で学べるのです。それに、2回目になると、明らかに理解度が上がって来ていることを自分で感じるので、モチベーションが上がることの方が多いです。

以上が反転授業の実際的なところですが、少し補足しておきます。

上に、半年ずつで次のクラスに進める中学生は激減したと書きました。

しかし、中には進める生徒もいるのです。そして、そういう生徒は高2終了時点で京大の工学部なら合格できるようなレベルに到達します。

そういう生徒はこれまでにもいましたが、その次のクラスを準備していなかったので、さまざまな調整をして、高3で演習2のクラスに入るようにしていたのです。昨年、京大経済理系に合格した松嶋さんや、一昨年京大工学部物理工に合格した西澤君などがこれに当たりますが、それぞれ、余裕で合格できたので、それでもよかったと思います。

しかし、たとえば、京大の医学部を志望する場合だと、もっと万全を期す必要があり、それで、演習2の次のクラス、演習3を作る計画を立て、この1年間準備をしてきました。

もう既に、今年度、高2で演習2に参加している高2生が2人いて、来年度から演習3クラスを個別指導の形で始めることにしています。そして、そのように進めることを京大医学部コースと呼ぶことにしました。