稲荷塾オンライン講座
気が付けば6月に入ってましたねぇ。
元々、6月には新しいオンライン講座のシステムが完成するということで、待ち遠しく感じていました。でも、いざそのときが近付いてみると、7月にずれ込むかも知れず、完成時期は不透明です。
しかし、それが出来上がると、やり取りが便利になり、何と言ってもこちらサイドの手間がかなり軽減されます。ですから、多少登録者が増えても対応できるようになるはずです。
ということで、待ちに待っているわけです。
オンライン講座は稲荷塾が作り上げてきたシステムをオンラインで受講できるようにしたものです。
では、稲荷塾が作り上げてきたシステムとは何でしょうか?
まずこれは、一般の数学の授業には無駄が多いという気付きから始まりました。
すなわち、何か新しいことを伝えるために「板書」と「それをノートにとる」という作業が必要で、その作業の時間が授業時間の約半分を占めるという驚きの事実です。
2015年夏に「稲荷の独習数学」が出版され、それを使って途中入塾の生徒に補習をしているときにその事実に気付きました。
この本は、私が授業で話していたこと、板書したことを整理してまとめることにより作られたので、補習において、一から説明するより、本を読んで来てもらって疑問点を解決するところから始めれば効率がよいと思ったのが出発点です。
その結果は奇跡的と言ってよいぐらいのものでした。2倍以上の進度で進んだだけではなく、定着率も上がりました。
この経緯を見ながら、劇的に授業効率を上げる方法があることを直感しました。
それで2016年から反転授業の方法を探し始めることになったのです。
教室で新しいことを学び、家庭でそれを定着させるための演習を行うという教室での授業と家庭学習の役割を反転させ、家庭で新しいことを学び、教室でその演習をするから反転授業です。
以前から反転授業というものがあることを秋田の中村先生から聞いていました。アメリカで登校が難しい地域に住む生徒のために考えられた方法だけれども、それ以上の可能性があると。
それを意識していたわけではありませんが、気付いたら、教えてもらっていたことがヒントになっていたわけです。
ただ、1人のために補習で行っていたのと授業でするのは勝手が随分と異なり、失敗の連続でした。要するに、どの程度予習してきてもらうのかというレベルがそろわないと授業にならないのです。
ある生徒が「稲荷の独習数学」をさらっと読んで来ただけだと、当然、演習から授業を始めることができません。
この参考書は稲荷塾のテキストを土台に書いたものですから、参考書を読んで大体分かったと思えば、テキストの問題を解くと効果的です。そうすると、分かったつもりだったのに、詰まる問題に直面し、参考書に戻って読み返すのです。
こういう予習をしっかりしてもらうとなると、週1回の授業に参加するために平均的に約3時間の予習が必要であることが分かってきて、これを予習の基準にしました。
それでも、予習のレベルをそろえるのは難しいです。能力的な問題もありますし。
そこで、15分の小テストで稲荷塾が必要と考える予習の基準を示すことにしました。4問の小テストで50点以上取るのがその基準で、25点や0点だと予習が甘いということです。
小テスト後は、その直しを参考書とテキストを使って自力で行う時間を15分程度取ります。
その後は演習です。
自分の理解のどこが甘かったかを知った上で演習するので、すごく効果的です。
結局、通常授業で1年かけて数ⅠA等を学んでいたのが、反転授業で半年でできるようになりました。しかも、成績は上がりました。
ですから、数ⅠAから数ⅡBに進むときに基準を設けることにしました。3回の単元テストの平均点が50点以上であれば数ⅡBに進むことができ、それ未満であれば、もう一度数ⅠAを学ぶことにすると決めたのです。この単元テストの平均点が50点というのは河合塾の全統高1模試において偏差値70程度に相当し、ほとんどの中学生は半年ではこの基準に到達できず、結果的に1年間数ⅠAを学ぶことになり、そうすればかなりの確率でこの基準を越えるようになりました。
これはすごいことです。中2終了時に全統高1模試で偏差値70程度ですから。
しかも、中には半年でこれをクリアしていく生徒もいるのです!
もちろん、高校受験をした高校生は必ず半年でこの基準を越えなければなりません。そうでないと高校課程終了後の演習時間を確保できないので。
こういった反転授業のシステムはオンラインでも実行できるので、オンライン講座を始めることになったのです。