中学数学で大事なこと part 2
中学数学で大事なことは「代数の基礎」と「幾何を通して思考のトレーニングを積むこと」だと書きました。さらに、代数の基礎のうち「計算の処理が速く正確であること」については具体例を挙げて説明しました。
今日は「幾何を通して思考のトレーニングを積むこと」について書こうと思います。
数学の問題では
- 条件
- 結論
が与えられていて、この2つをつなぐことを「問題を解く」と言います。
標準問題では、たとえば神戸大学の問題はその典型ですが、その両者の距離が近く、必要な知識と技術さえあれば、瞬間的に方針が立ちます。
ところが、難しい問題になると両者の距離が遠くなります。
条件が複雑だったり抽象的で、一読しただけでは何を意味しているかが把握できない場合もあります。
結論が何気にぼかされていて、直観を頼りに解き進めると、まるで関係のない方向に進んでしまい、訳が分からなくなってしまうこともしばしばです。
結局、「条件」「結論」が意味するところは何なのかを「調べる」という作業が要求されるのです。調べる中で状況を把握し、解法の糸口を見出すわけで、これが東大・京大の問題の典型的パターンです。
中学数学で学ぶ幾何は、この「調べる」能力を鍛えるために最適だと言えます。
特に証明問題では難しい問題になると、「条件」も「結論」もぼかされています。
ですから、「補助線を引いてみようか」とか、「この三角形をこちらに移してみようか」といった試行錯誤が要求され、そういう中で真相に近付いて行くのです。
稲荷塾の中学数学の演習用のテキストでは、特に幾何のところが難しくなっています。それは、ここで多少苦労したとしても、考え抜くという経験をしてほしいからです。
そして解ければ、それは快感ですし、必ずこのトレーニングはその後に活かされます。