24 は 25 引く 1 だから (続き)
昨日、時間不足で書けなかった続きを書きます。
まず、ケンシロウをご存じない読者のために説明しておきます。
ケンシロウは現在高1で、中1の夏過ぎに塾に来ました。灘の数学研究会に属していて、中1終了までに高校課程を終わらせたいのだけれども、それができるか、と問い合わせてきたのです。それに対して、反転授業で効率よくやればできると答え、結局7カ月間で数ⅠAから数Ⅲまでやりました。その後中2の1年間の演習を通じて京大に受かってもおかしくないような実力を身につけました。そして中3の夏ごろには京大の並の合格者より上だと思うようになり、高1になったころは間違いなく京大工学部ならトップ合格するだろうというところまで来ました。そしてこの春、もう受験の数学には興味がないと言い出して、卒塾することになったのです。大学合格後にチューターとして戻って来てくれることを期待しています。
この過程でケンシロウは何度も面白いことを言いました。
そのうちの1つが「 13/24 を5 進法で表したら 0.23 23 23 … になる」です。しかもほぼ一瞬でした。わけが分からず、「何で?」と私が聞いたところ、「 24 は 25 引く 1 だから」と答えたのです。
ますます混乱しました。
しかし、そのときは他の生徒から次の質問があったりして、十分に話を聞くことができず、そのまま今日まできてしまっていたのです。
ところが昨日、演習1の授業でまさしくその問題をやることになり、膳所の理数科の高2の子がやっぱり 13/24 を何のためらいもなく 0.23 23 23 … だと答えたのです。
ケンシロウとのやり取りを鮮明に思い出しました。
それで、今回はちゃんと聞きました。何でそうなるかを。
13/24 を5進法表示して 0.abcde … と表したとします。5進法ですから5倍すると小数点が1つ右に移動し、さらに5倍するとまた小数点が1つ右に移動します。つまり25倍すると小数点が2つ右に移動し
25 かける 13/24=ab.cde … これと13/24=0.abcde … の辺々を引くと
24 かける 13/24=ab+(0.cde … -0.abcde …)
ところがこの左辺は 13 であり、13 は整数ですから (0.cde … -0.abcde …) が 0 だということになります。要するに ab 以下は2桁ずつが循環しているということです。
結局 ab は13を5進法で表したものになり、13=2×5+3 よりab=23 です。
かくして 13/24 を5進法で表すと 0.23 23 23 … となるのです。
これを頭の中で一瞬でやってしまって「 24 は 25 引く 1 だから」なんて言われても困りますよね?
この膳所の子もすごいです。中2から数ⅠAに入り、半年で合格点を取り数ⅡBに進みました。さらに数ⅡBも半年で単元テストの平均点が50点を越え、中3から数Ⅲに入りました。そして中3の9月から高校受験の態勢に入ったのです。高校合格後は再び稲荷塾に戻ってきて、演習1の授業から再開することになったわけで、非常にいいコースを進んでいると言うことができます。
ですが、
この膳所の子も中1のときは大したことがありませんでした。
中学数学のクラスでは年間13回の小テストを実施しますが、その平均点は49点。はっきり言って悪いです。今の中学数学のクラスに入れたとすれば、下から数番です。
ということは中学数学のクラスの生徒はみんなすごくなるのか?
そんなことはありません。すごくなる可能性があるというだけです。
私が思うに、勝負は高校数学に入ってからだ、ということです。そこまでがどんなに優秀でも、ダメになる生徒はダメになるし、そこまでは大したことがなくても徐々に頭角を現す生徒もいるということです。