演習の第二段階
「すみません、勉強不足です」
難しい問題に出会うたびにこのように感じ、そこで思考を止めてませんか。
標準問題は解けるようになったのに、東大・京大レベルの問題が解けないのは、実は、知識が不足しているからではありません。
1.条件
2.結論
が与えられており、この「1.条件」と「2.結論」をつなぐことを、問題を解くと言います。標準問題では「1.条件」と「2.結論」の距離が近く、知識や技術を身に付ければ「1.条件」と「2.結論」をつなぐことが出来ます。この知識と技術を身につけるための標準問題での演習を私は、「演習の第一段階」と呼んでいます。ここでは一つの技術を身につければ一つのタイプの問題が解けるようになり、解ける問題の幅がどんどんと広がっていきます。
この内容を必要としている生徒は非常に多いと思います。
なぜそう思うかと言えば、私自身がこれを身につけるために随分苦労したからです。
以下は予備校講師になる前の話です。
塾講師になって2年が経ち、標準的な入試問題が解けるようになったとき、一般の例に習って「大学への数学」を初めレベルの高い問題集での演習を始めました。しかし、苦戦しました。
京大を受ける生徒が目の前にいて、そのレベルの問題を彼らが解けるようになるために教えないといけないのに、自分が解けないのです。
焦りました。
「大学への数学」の解答自体は読んで理解できても、どうしたらその発想ができるのかが皆目見当がつかないのです。
だから勉強しました。3年間、受験生の何倍も勉強したと思います。自分の発想力不足の原因は知識不足だと思ったからです。
もちろん、問題の背景を知らないから発想が貧弱になるという面もありました。しかし、東大・京大レベルの問題が解けない原因の本質は知識不足ではなく、問題文の読み解き方が洗練されていないからであると次第に分かってきました。それと同時に、東大・京大の問題はこの「問題の読み解き方」なくして解くことができないという意味で特殊であることも分かってきました。
そして、その読み解き方にはいくつかのパターンがあることにも気付き、この辺りが整理されてきて、京大の問題が簡単だと思えるようになったのです。
ちなみに、「演習の第二段階」の技術を探して私が苦闘していたとき、これについて言及している本はどこにもありませんでした。
東大・京大レベルの問題へのアプローチとしては、幅広い知識により、深い理解に至らせようとするものが主流だったと思います。
その代表が「大学への数学」ですが、「大学への数学」の解答は「エレガントな解法を示す」という方向に進んでおり、確かにかっこいいし、「おぉ、そうするのか!」と感動することもあるのですが、普通の高校生にはそういう発想をするのが無理であることも多いのです。
ですから、演習の第二段階の技術、すなわち東大・京大の問題の読み解き方は自分で探すしかないと思いました。
そうして見つけた方法を整理してできたのが今春出版予定の「演習の第二段階」です。
標準問題が解けるようになった諸君にこの演習の第二段階の技術が加われば、必ず東大・京大の問題が解けるようになります。