反転授業と特別クラス

3月8日(日)に説明会があることもあり、過去のブログから稲荷塾を紹介する内容を拾って再掲載します。

 

数学の通常授業では教室で新しい概念を学び、家庭学習でそれの定着を図ります。

ところが、教室で新しい概念を説明するための方法に無駄があります。

つまり、まず板書があり、それを生徒がノートに写すところから説明が始まりますが、この「板書」と「ノートに写す」という作業の時間が授業時間の約半分を占めるのです。

 

「稲荷の独習数学」は、これまで私が授業で話してきたことを整理して作られているので、これを読むと授業を受けたのと同じ状態になります。もちろん「板書」も「ノートに写す」という作業の時間はありません。

ただ、「分かる」と「できる」は随分と違い、分かりやすい授業を受けたときほど分かったつもりになっているだけという危険性があります。それと同じように「稲荷の独習数学」を読んで、「大体分かった」と言うのも危なく、本当に分かったかどうかをチェックする必要があり、稲荷塾の反転授業では「稲荷の独習数学」を読んだ後、テキストの問題を1週間に2ページ解いてくることが予習として課されます。稲荷塾のテキストは、これを土台に「稲荷の独習数学」を書いたので、本と連動しており、これを解こうとすると、理解が曖昧であった部分が明らかになります。そしてそういう理解が不十分だったところにぶつかるたびに「稲荷の独習数学」に戻り、説明を読み直すのです。

これが予習です。

授業では

  1. 予習段階で分かりにくかったところの説明:20分から30分
  2. 小テスト:15分から20分
  3. 小テストの直し:すぐに終わる生徒もあれば、授業時間いっぱいかかる生徒もある
  4. 補充プリント2枚での演習:授業時間内に全部が終了することは滅多にない

というメニューで進み、「分かる」という状態から本当に「できる」ようになることを目指します。

通常授業での教室での役割と家庭学習の役割を反転させるので「反転授業」と呼びます。

非常に効率がよく、通常授業の2倍の進度で進むことができます。

 

ところで、予習にはどのぐらいの時間がかかるのでしょうか?

これは、どのぐらいしっかり予習しているのかということや生徒ごとの能力によって大きく変わります。でも平均すると大体1日30分ぐらいです。

一応、日々こつこつすることが推奨されていますが、実力が不足している場合はそのように進めるのが難しく、土曜日に来て、チューターに助けてもらいながら一気にやってしまう生徒もいます。

 

さて、1日30分の塾の勉強は大変でしょうか?

これは生徒個々において感じ方が違うので、一概に言うことができませんが、基本的に大変です。学校によっては宿題が多くてそれをこなすだけでも楽ではないところもありますし、そうでなくても定期テストやさまざまな学校行事で忙しくなる時があったり、クラブ活動で疲れてしまうこともあるでしょう。そういう中で1日こつこつ30分予習をするのは大変です。

ですから、みんなには余裕があるときに余分に進めておき、不測の事態が生じたときでも予習が間に合わなかったとはならないように頑張るように伝えています。

 

ところで、稲荷塾の反転授業での予習は1日30分が目安だと書きましたが、これは個人差が大きく、ちょっと優秀な生徒だと半分の時間で同じ内容をこなすこともできるはずです。

そこで、1週間でテキスト2ページの予習の代わりに1週間でテキスト3ページの予習をする「特別クラス」を昨年より作りました。

そうすると1.5倍進むので、反転授業のクラスが半年ずつで数ⅠA、数ⅡB、数Ⅲを学び合計1年半で高校課程を終了するのに対して1年で高校課程を終了することができます。

 

これは高校受験をした生徒のためのクラスです。

高校受験をした生徒の場合、高校生になってから高校数学を始めるので、どうしても演習の時間が短くなります。

堀川にしても北野にしても、高3の夏休み前に高校課程が終了するようにしています。これは一般の高校よりかなり速いペースですが、それでも演習期間はたったの半年です。

中高一貫校は中3から高校数学に入り高2が終了するところで高校課程が終わるので、1年間の演習期間があります。

特に灘は中2から高校数学に入るので演習期間は2年間あります。

一般に、高校課程が終了してからの演習によって実力が伸びるようになっており、その期間が半年と2年では大差だと言わざるを得ません。

 

ところが特別クラスでは高1の1年間で高校課程が終わるので、2年間演習できます。

高1の1年間だけは少ししんどいですが、その効果は高2からはっきりと表れることでしょう。

入試の中心は数ⅡBで、かなりの内容を覚えなければなりません。数Ⅲはそれ以上にたくさんの覚えるべきことがあります。そういう分野の新しい概念を飲み込み、覚えるべきことを覚えるために周りのみんながエネルギーを使っているときに、「それは既に覚えたので、今は使う練習をしているのだ」となれば、どんなことが起こるでしょうか?

特別クラスの生徒は既に学校で1番になっている生徒もいますが、他の生徒も早晩それに近い状態になるでしょう。間違いなくそうなります。