なぜ演習期間は2年必要か?

演習Ⅲのクラスで数Ⅲの演習を行い、演習1、2では数ⅠA、数ⅡBの演習を行いますが、今回は演習1、2のクラスについて書きます。

 

まず、この演習には2年間という期間がほしいです。その理由から書きます。

数ⅠA、数ⅡB、数Ⅲの高校課程を一通り学んだ段階では入試問題を解くことができません。もちろん学んだ内容を定着させることは必要ですが、それに加えて「入試の常識」というものがあるのです。

数学の問題は

  1. 条件
  2. 結論

が与えられていて、この2つをつなぐことを問題を解くと言います。

標準問題ではこの2つの距離が近いので、つなぐための知識と技術があれば問題を解くことができます。すなわち標準問題をどんどんと解いてその知識と技術を身に着けていけば、解ける問題も増えて、数学の力も上がっていきます。いわゆる「入試の常識」が身に着いた状態になるのです。およそ、神戸大学の入試問題がすらすらと解けるレベルです。

高校課程を一通り学び終えてからここに至るまで、平均的に1年間ぐらいの演習が必要です。

 

ところが必要な知識と技術がほぼ身に着いた状態に近付いても、東大・京大の問題は解けません。

生徒の多くは東大・京大の問題が何か異質なものであるかのように感じます。

実は、東大・京大の問題は1.条件と2.結論の距離が遠いのです。

1.条件が複雑であったり抽象的であって捉えにくい場合もあります。2.結論がぼかされていてどこへ向かえばよいのかが分からない場合もあります。いずれにしても両者の距離が遠いので、これを読み解く技術が必要になるのです。

稲荷塾では演習2のクラスでこの技術を学びますが、「入試の常識」が身に着いた後、この東大・京大の問題を読み解くための技術が身に着くまで、やはり平均で1年ぐらいかかります。

 

結局、高校課程を一通り終えてからの演習期間は2年間取るのが理想的ということになります。

 

ですから稲荷塾では「中2から高校数学に入ること」「反転授業で数ⅠA、数ⅡB、数Ⅲのそれぞれを半年で学ぶこと」「高校受験をした高1生のための特別クラスを作り、高校課程を1年で学んでしまうこと」等を、よしとして勧めているのです。

 

to be continued