数学的帰納法で遊ぼう(再掲載)
松谷です。
ちょうど今日の授業が数学的帰納法なので、埋もれていた記事を発掘して、再掲載しておきたいと思います。
まあ、昔書いたものの中にもいいなと思うものはもちろんありますからね。2年半くらい前の記事なので生徒も8割くらいは入れ替わってますしね。決して記事稼ぎではありません(笑)
さて、いくつになっても新しい道具を手に入れたときはひとは、わくわくするものですね。
数学でも、そんな道具の一つに、数学的帰納法というものがあります。
何やらかっこいい名前ですね。そんな名前のせいもあって、男子校生に中二病を発動させる大人気アイテムです。「くらえ、数学的帰納法!」「うっ、証明されてしまった。。」といった具合です。あほですね。
さて、そんなあほは置いておいたとしても、数学的帰納法はとっても便利な道具です。
数学的帰納法とは、
「自然数nなどに関する何らかの命題Aを証明するための道具」で、基本は「n=1のときAが成り立つことを示す。→n=kでAが成り立ってるとした場合n=k+1の場合もAが成り立つことを示す。→n=1で成り立つからn=2で成り立つ。だから、n=3で成り立つ。n=4で成り立つ。……すべてのnでAが成り立つ。」
といったドミノ倒しのような構造をした、証明方法です。いろんなバリエーションはありますが基本はこれです。
これを使って世の中の事象を考えてみましょう!
今回は、
「斎藤さんはハゲである」ということを証明したいと思います。
ここで前提として、斎藤さんは5000本の髪をもっているとします。
まず、問題文を言い換えます。
「5000本の髪を持つ男はハゲである」
これを証明できればまぁだいたいよさそうですね。
さらに、もし、「n本(nはすべての自然数)の髪を持つ男はハゲである」・・・(*)を示せればもう余裕ですね。
第1段階:n=1のとき、すなわち1本の髪を持つ男を考えます。
これはもうハゲですね。ナミヘイさんはハゲですし、二本くらいありそうなお化けのQ太郎ですらハゲですし、これはもう明らかですね。
よって、n=1のとき(*)は成立します。
おっ調べてみたら3本でしたね。
第2段階:n=kのとき、すなわちk本の髪を持った男がハゲだと仮定します。
そのときk+1本の髪をもった男を考えます。
ここで、k本の髪を持ったハゲの男に、1本の髪を植毛します。
するとハゲでなくなるでしょうか?それは、もうアデランスかアートネイチャーの回し者でもない限り、そんなことは言えないでしょう。
よって、k+1本の髪をもった男がハゲであることもわかりました。
すなわち、「n=kのとき(*)が成立すると仮定したとき、n=k+1のときも(*)が成立する」
ことがわかりました。
第3段階:よって、第1段階と第2段階より、
n=1本の髪の男がハゲで、1本増えてもハゲがわかったので、n=2本の髪の男もハゲで、
n=2本の髪の男がハゲだから、n=3本の髪の男もハゲで、・・・・
とやっていくと、「n本(nはすべての自然数)の髪を持つ男はハゲである」ということが証明できました。
もちろん、n=5000を代入して、5000本の髪を持つ斎藤さんもハゲであることがわかりましたね。
めでたしめでたし。
あれっ、この理論で行くと、世の中の人全員ハゲですね?!
どこかで前提を間違ったということでしょうね。まぁ、全員ハゲの方が幸せなので、そこはあまり追及しないことにしておきましょう。
ではでは。