特別クラスの報告
特別クラスの報告をします。
まず、このクラスの説明をしておきます。
数学では「分かった」ことが「使える」ようになるために演習が必要です。それで、数ⅠA、数ⅡB、数Ⅲの高校課程が一旦終了してから入試で要求される技術と知識が定着し自在に使えるようになるのに平均的に1年ぐらいの演習期間が必要です。さらに、東大・京大の問題が解けるようになるためにはそこから1年ぐらいの演習が必要です。
ここが少し分かりずらいので、補足しておきます。
数学の問題は
- 条件
- 結論
が与えられていて、この1.と2.をつなぐことを「問題を解く」と言います。
通常の問題はこの1.と2.の距離が近く、これをつなぐ技術があれば問題が解けます。
しかし、東大・京大の問題ではこの距離が遠く、まず問題文の意図するところを読み解くところから始めなければなりません。この作業が結構難しく、通常の入試問題がすらすら解けるようになってからさらに1年ぐらいかかるのが平均的なところだということです。
そうすると、高1終了と同時に高校課程を終了し、2年間の演習期間を作るのが理想的だということになります。
ところが、数ⅠA、数ⅡB、数Ⅲのそれぞれは元来1年ずつかけて学ぶように編集されているので、特に高校受験して高校生になってから高校数学を学び始める生徒の場合、この2年間を作ることは難しいです。それが難しいので、堀川や北野では数ⅠA、数ⅡB、数Ⅲのそれぞれを少しずつ縮め、高3の夏が始まるまでにすべてが終わるようにすると同時に、学びつつ演習するというスタイルをとっているのです。要するに結構忙しいということです。
ところで数学の授業は、新しい概念を説明するためにまず講師が「板書し」、それを生徒が「ノートに写し」、そこから説明が始まります。
ここに大きな無駄があります。実に、この「板書」と「ノートをとる」という作業に費やす時間は授業時間の約半分です。
そこで稲荷塾の「稲荷の独習数学」を用いた反転授業が始まりました。
この本は、私が授業で話してきたことをまとめて整理する形で作られました。つまり、これを読むということは授業を受けたことに相当し、もちろん板書する時間もノートをとる時間も不要です。
そして大体のことが「分かった」状態でクラスに集まり、「できる」ようになるための授業をするのです。
非常に効率がいいです。
ですから一般の速度の2倍で進みます。稲荷塾のテキストで言えば「1週間に2ページずつ予習」して来ることになります。
その結果、1年半で高校課程を終了し、1年半の演習期間を作ることに成功しました。
これは夢のような方法です。
しかし、この話にはまだ先があります。
反転授業に参加している生徒を見ながら、私は考えました。ちょっと優秀な生徒であれば「1週間に2ページの予習」を「1週間に3ページの予習」にしても十分にこなせるだろうと。大体の目安で言えば「1週間に2ページの予習」とは1日30分の予習に相当します。ですが、これは個人の能力と深く関係しており、2倍以上の時間がかかる生徒もいれば半分の時間でできる生徒もいるのです。
ですから、ちょっと優秀な生徒であれば「1週間に3ページの予習」ができるはずだという予想はそんなに的外れではないはずで、これが「特別クラス」です。
それで特別クラスの報告ですが、予想通りでした。
6人とも順調に進み、7月6日から数ⅡBに入りました。(当初、通塾時間を限定し3名だけの募集をしましたが、応募者が多かったこともあり、土曜日の14時から21時のどこに来てもよいことにし、定員も増やしました)
しかも成績は期待通りかなり良いです。
通常の反転授業のクラスでは「できる」ようにするための授業をすると書きましたが、その内容は4つです。
- ポイント講義
- 小テスト
- 小テストの直し
- 補充プリントでの演習(2枚)
このうち「小テストの直し」までは必ず終わらなければならず、それが終わらなければ時間を延長してでもするようにしています。
それに対して補充プリント2枚が終わることは稀です。相当優秀な生徒がときどき2枚の補充プリントを終わらせることがあるぐらいです。
これが通常の反転授業ですが、土曜日の特別クラスはテキストを3ページずつ進めるので、補充プリントも3枚です。そして彼らはこの3枚の補充プリントを終わらせてから帰るのを常としています。
まあ、土曜日にやっているので授業時間が2時間でなければならないという制約がありませんので。
でも、ときどき2時間で3枚をやってしまう子もいて、驚かされます。
結局、これぐらいのことは「できる」ということです。
そうすると、通常の反転授業のクラスで一般の2倍の進度で進むなんてわけないということになります。
ますます上を目指していきたいです!