数学ができない子について
今年の演習1のクラスは優秀な生徒が多いのですが、だからこそできない生徒が目立ちます。
何でできないのでしょうか?
通常、そのレベルの問題が解けるようになりたいと思い、しっかり取り組めば、2、3ヶ月のうちにがらっと変わります。
できなかった問題を大切にし、分かったと思った後、解答を見ないでそれを再現するという作業を繰り返していけば、すぐに効果が出るのです。
これをやっていないからでしょうか?
昨日の演習1の授業で、そういう目立つ生徒にやるべきことをやっていないんじゃないかと聞いてみました。
すると、やっているとの返答がありました。
う~む、
とすると、演習のクラスに入るための基礎ができていないということです。
使うべき技術が頭の中に入っていないとすれば、いくらトレーニングしても空回りするだけです。数ⅡBと数ⅠAのテキストを早急にやり直すべきです。
それから、もう一人のできない子を見ながら思いました。やり方を覚えても意味がないと。その意味を理解して積み上げていかなければ、応用が効かないのです。
数ⅠA、数ⅡBを学んでいる段階ではいい成績を取っていたのに、今見てみれば、何も定着していないのです。
一体過去にいい成績を取っていたのは何だったのか?
結局そういう子は点を取るための勉強をしているのであって、理解するための勉強はしていなかったということです。
できない子の話のついでに、数ⅡBクラスでできない子を見ていて感じることがあったので、それも書いておきます。
数学の概念を飲み込むのに苦労する子の特徴として、「一般的な事実を具体的な事象に適用することができない」というものがあります。
たとえば「次の項は手前の項の定数倍だ、という関係が成り立てば等比数列だ」ということを理解したとします。しかし、項の形はさまざまなバリエーションがあるのです。場合によっては大きな式の塊になることもあります。そうすると途端に分からなくなるのです。
それはまるで、「家に帰ったら、お母さんがパーマをあてていたので、誰だか分らなかった」と言っているようなものです。
これは克服可能でしょうか?
多くの場合、非常に難しいです。
しかし、「無理だな」と私が思った段階から飛躍的な改善をした子もいました。
その子は微分を用いて接線を求めるとき、「y=f(x) の x=t における接線」に拒否反応を示しました。「えぇ、何で?!」と思いましたが、聞いてみると、x があって y があって、その上に t が出てきたら訳が分からないと主張したのです。全く訳が分かりません。
万事においてそういう感じでしたから、無理だと思ったのです。
でも、どんなに厳しく私に言われても何故かニコニコしながらやり続けていました。
その子がどこの大学の何学部に進んだかを言ってしまうと、その子が誰だか分かってしまうので書けませんが、驚くほどの飛躍をしたのです。
できない場合、それを克服するのではなく、できる分野を探すという方法もあります。そしてその方がずっと幸せになれる可能性が高いと思います。こうでないといけないと決めつけすぎるのは、それ自体が思考の硬さを表しており、見ている世界が狭すぎる場合もあります。
しかし、あまりに逃げすぎるのもよくないし、難しいところですね。