一般を具体に適用

一般的な事実を具体的事象に適用することに困難を感じる諸君がいます。

たとえば、y=f(x) のグラフを x 軸方向に a、y 軸方向に b だけ平行移動したグラフの方程式は y-b=f(x-a) になるという一般的な事実を具体例に適用してみましょう。

「y=x^3+2x+1 のグラフを x 軸方向に1、y 軸方向に2だけ平行移動したグラフの方程式を求めよ」

という問題では、x の代わりに x-1 を代入し、y の代わりに y-2 を代入すればいいのです。

つまり y-2=(x-1)^3+2(x-1)+1 を整理して y=x^3-3x+5x になります。

昨日、数ⅠAのクラスで、これができなかった生徒がたくさんいました。

まず初めに、上に書いた一般的事実を理解したことを確認しました。なのに、それを具体例で正しく使うことができないのです。

じゃあ、最初の「一般的事実を理解した」とは一体何だったのでしょう?

まるで分っていないのに分かったつもりになっているとしたら、すごくまずいのです。

 

私の仕事は、数学を教えるということですが、同時に思考の基礎を教えるということなのかも知れません。

それは、生徒諸君の人生に間違いなく役に立つ内容です。

しかも、数学は面白いのです。

 

こんなことを考えながら授業をしていたら、「でも、俺が彼らに本当に教えたいことはもっと別のことだなぁ …」などとささやく声が聞こえました。

たとえば、彼らはこの後、大学に進学し、そして仕事に就きますが、「仕事って何だろう?」というテーマであれば、いくらでも話したいことがあります。

続いて彼らは結婚して家庭を持ちますが、「男女関係って何だろう?」「愛って何だろう?」という内容なら無限に話したいことがあります。

そして彼らの家庭には子どもが生まれますが、「家庭って何だろう?」「子どもを育てるって何だろう?」ということであれば、それは私自身一生を通して追求してきた内容であり、これを話し出したらどこまでも真剣になってしまいます … 。しかし、彼らにはまだちょっと早いか …

 

だからやっぱり子育ての本を書きたいのです。

このテーマに関する本の出版は春に一旦断念しましたが、もう一度構想を練り直してまたいずれ挑戦することになるだろうと思います。

 

ブログでもちょくちょく書こうと思います。