エレガントな解答を求む
生徒の質問に「うっ」、と詰まることがあります。
少し考えて答えられそうなときは待ってもらいますが、時間がかかりそうなときは私の宿題にして、次に会うときに答えることにしています。
これは楽しい時間なのです。
大概は帰宅後、夕食を食べ、風呂に入った後、取り組むことにしています。
あっけなく解決するときもありますし、時間がかかるときもあります。しかし、いずれにせよ、これを通して私自身が学ぶことができますし、その問題を題材に演習問題を作ったりすることもできます。
そうしてため込んだ問題を持っておくと、授業にメリハリをつける上でとても役に立ちます。もちろん、授業ではこういうことを伝えようと準備して臨みますが、生徒の反応によって説明が長くなることもあれば短くなることもあるので、予期せずして中途半端な時間が残った場合などに、「じゃあ、これを考えてみようか」と手ごろな問題を出題するわけです。
結構みんな真剣に考えますし、授業の主題以上に記憶に残るようなこともあります。
それでは、最近の「うっ」を紹介しましょう。
ちょっと図が見にくいので補足しておくと、頂角が20度の二等辺三角形で、底辺の方から20度と30度の線を引いているということです。
とても面白いので、考えてみてください。
答えは
太くした線分の長さが全部等しくなります。
では、もう一つ。
これは質問内容ではありません。まず、こういう問題があったと思ってください。
角 APB が一定ですから、P はある円周上を動き、もう一つの条件から動く範囲が限定されます。
答えは
こんな感じになります。
で、質問内容ですが
図の C から D までを P が動くときは、AP が減り BP が増えるので BP/AP が単調に増加するのは当たり前ですが、B から C まで P が動くときは分母も分子も増えるので、BP/AP が単調に増加するというのは自明ではありません。
でも、分子の増え具合が分母の増え具合に比べて大きいので、そうだろうなということは分かります。
さて、その「そうだろうな」を数学的に明確に述べることはできないか、というのが質問内容です。
もちろん、これは正弦定理を使って計算で示すことはできます。でも、彼が要求しているのはそういうことではなく、幾何的に「ほら、当たり前やろ」と示してほしいというのです。
「うっ」と詰まりました。
それで、とても面白かったです。
この説明は、おそらく大半の読者の興味の範囲外だと思うので、省略します。
もし、興味をお持ちの方があれば、問い合わせてみてください。