「記述」について

解答は自分が考えたことを相手に伝える手段です。

答えが合っていればいいというものではありません。

たとえば、定義域のチェックが誤っていてもその範囲における最大値が正解と一致する場合もあり、この場合、定義域のチェックをしたことを記述しないと、正しく議論したのか、たまたま合っていたのかが分かりません。

結局そういう場合、点数はもらえません。

もっと極端な場合もあります。

たとえば昨日、数ⅡBで漸化式の小テストをしたときに、途中の議論がなく答えだけが書いてあるものがありました。

これだと、分かっているのか、誰かの答案をカンニングしたのか、こちらからは全く分からないのです。

そういうものには、私は点をあげません。

それから、「n=1 のときはこれこれ。n≧2 のときはこれこれ」としっかり書いてほしいところを、そういった場合分けを一切せずに議論を始めて、最後に n=1 のときの答えをくっつけているようなものも、人に見てもらうつもりで書いているのか疑わしいです。

さらに、定義の理解が曖昧で言葉の使い方が間違っているものも非常に印象が悪いです。

だから、みんなには口うるさいおじさんだと思わていると感じつつ、ここは妥協できないのです。

何度も書き直しをさせられて、あからさまにむっとしている生徒もいましたが、記述がいい加減なままでは伸びないので仕方がありません。

まあ、「稲荷の独習数学」では、このように記述してほしいという一つの基準を示しています。

それを吸収して成長している生徒がいる一方、なぜそのように書いているのかを読み飛ばしているというか、重要な部分に気付かずに進んで行ってしまっている子がいるのも事実です。そういう場合、テストを通してチェックを入れ、細かい注意をすることで、少しずつ深い理解に近付いていけるのではないかと期待しています。