子どもの引っ張り方
世の中にはいろんな仕事があります。儲かる仕事もあればそうでない仕事もあります。
ですが、お金になるかどうかが仕事の良し悪しを決めるのではないと思います。
その人がそこに情熱を持って取り組んでいるかどうかの方がはるかに重要で、たとえばたこ焼きのひっくり返し方が抜群に上手い料理人は、「すご~い!」と尊敬を集めるのです。
要は情熱を傾けることのできる分野を見つけることができるかどうかが大切で、親は子どもが自分に合った分野を見つけられるように応援するべきです。決して、こうでないといけないと選択肢を狭めたり、決めつけたりしてはいけないのです。
ではもし、子どもの特性がちょっと変わっていたり、興味の方向が一般的でない場合、世の中からは理解されにくく、疎外されることもありますが、そういうとき親はどうあるべきでしょうか?
親だけは子どもを信じ、守ってやらなければならないはずですが、率先して反対したり、頭ごなしに否定したりはしていないでしょうか。
塾をしているといろんな親子関係を目にしますが、ときにはまずいと感じることもあります。
少し前のこと、あるお母さんが「この子の父親は東大を出ていて、本人もお父さんのように東大に行きたいと言っていますから …」と熱心に子どもを引っ張っていました。
問題は、その子がそのように思っているはずがないということでした。
稲荷塾は「東大・京大受験のための数学専門塾」と言っている通り、東大・京大を目指すということが前提で生徒を集めています。
しかしそうすると、おのずと対象は限られますし、方法論として合わない場合もあるということです。
上記の子であれば、まず勉強以前に心を解放してやることが必要であるように見えました。
極端に視野は狭く、まわりの友達に目を向ける余裕すらありませんでしたから。
もちろん勉強もできませんでした。
一体、このことをどのように伝えればいいのでしょうか?
これは難しかったケースのうちの一つです。
親が何かを悟るか、子ども自身がそれなりの年になって自覚するしかないのかも知れません。
しかし、このうち「親が何かを悟る」のは非常に難しいです。
ただ、このことは「子どもの好きにさせる」ということではありません。一番身近なところで子どもに接している親が子どもに向いていると思われる方向を探し、その方向に引っ張ろうとするのは自然なことだからです。もちろんプレッシャーをかけることもあるでしょう。
ですが、バランスを失ってはいけないのです。
子どもにいろんな体験をさせ、いろんな世界を見せるということが必要です。
また、よく話を聞き、子どもの心に最大限の関心を寄せることが大切です。
決して自由度をなくしてはいけません。それがなくなると子どもの目にキラキラ感がなくなります。
その上で、これがいいんじゃないかと強く引っ張るのであれば大丈夫です。
具体的なことが書けないので、多少抽象的表現になりましたが、真意が伝わることを願います。