K先生の思い出
数学の入試問題でなかなか解けない問題があり、それを考えていると昨晩は眠れなくなり、うとうととしてはまた考えるということを繰り返していました。
そのうち大筋は見えましたが、細かいところに不明な点が残っており、気になって仕方がなかったのです。
こんなことをしていると、私の数学の師匠K氏の叫びを思い出しました。
K先生は難問に出会うたびに「こんな楽しいことをしていてお金をもらってもいいにゃろか?!」と叫ぶ癖がありました。
そんなことを思ってるのはあんただけやで、と内心思いつつ、こんな人がいるんだ、というある種の感動を覚えました。
K先生は京大の数学科の修士を修了した段階で、大学紛争のごたごたを避けて大学を後にされました。
「優秀なやつは大学を出た」
これも何度も耳にした発言です。暗に自分は優秀だったと主張したい気持ちを感じ取りました。
それと同時に、思い通りの道を進めなかったという悔しい思いも伝わって来ました。
さらに、K先生には大学を卒業後印刷屋を経営しつつ、頑張っても頑張っても思うようにはお金を稼ぐことができなかったという苦しい時期があったそうで、それが上の叫びにつながっていることを後に知りました。
う~む。
恵まれた才能を持ちつつ、巡り合わせというか、さまざまな不運により、十分に実力を発揮できないということはどんな分野でも起こり得ます。
しかし、仮にそうであったとしても、若者たちには夢を持ち、そして成功してほしいと願います。