「突破力を鍛える 最難関の数学」

昨日の続きです。

1994年、自信満々で予備校講師になった私はその後すぐにその自信が砕け散る経験をしました。

D先生との出会いです。

D先生は京大の理学部数学科でドクターまで行っていて、高校数学の背景まで知り尽くしている感じでした。

それでずっとコバンザメして、いろいろと教えてもらっていたのですが、京大の解答速報を作るために集まったとき、私はD先生の隣に座ったことをとことん後悔しました。

なぜって、問題文を読んで、う~んと考える瞬間は1秒もなく、いきなり鉛筆がカンカンカンと走り出すのです。結局、文理合わせて11問の模範解答を1時間で作ってしまいました。

どうなっているのでしょうか?!

私の背中にはタラ~と汗が流れ、頭は全く働きませんでした。

さらに、D先生の授業は細かいところまでデザインされていて、板書を写せば、それがそのまま参考書になると生徒たちからも絶大の信頼を得ていました。

こんな人に追い付けますか?!

 

ところがあるとき、京大の医学部を受験するという生徒が目を輝かせて私のところにやって来ました。

彼が言うには数学が苦手で、京大オープン、京大実戦では理科も英語も偏差値75前後なのに数学は65程度しか取れず、それで浪人したけれども、私の授業を聴いて開眼したと。

京大志望の生徒の中で偏差値65ですから、そんなに弱いわけではありませんが、医学部となると、やはり少し足りないわけです。

「素直に問題文を読めばよかったんですねぇ!」

その時の彼はかなり興奮していました。

D先生のこともあり、まだまだ上がいることを知っていただけに、彼が興奮するほどの授業ができているという自信はありませんでした。

でも、彼の話を聞いていると、他では聞いたことがない特別なことを私は伝えているということが分かってきました。

要するに、見えない人が見えるようになるための道筋です。

これはむしろ、見えてしまう人には伝えることができない内容だったのです。

ここに自分の特長を見出し、その点を具体化し、整理してまとめたのが今回の「突破力を鍛える 最難関の数学」です。

自信作です!