どうしたらそのような発想ができるか?

1989年に京大の文系で出題された整数問題が、当時の私にとっては非常に難しく感じられました。

こんなん、本当に教えられるようになるのだろうか?

思えば、これが転機になりました。

つまり、こういった難しい問題の解答は、読めば理解できますが、どうしたらそのような発想ができるかについてはどこの参考書にも書いてありません。

この「どうしたらそのような発想ができるか」が私のテーマになったのです。

これに対する答えは2つあります。

  1. 深く理解すること
  2. 問題の読み解き方を知ること

です。

入試で問われる知識と技術を身につけて、「やり方」を知れば、標準的入試問題は解けるようになります。

しかし、それだけでは東大・京大の問題には歯が立ちません。

なぜそうするのかを人に説明できるぐらいに深く理解することがまず第一歩です。

それから、東大・京大の問題の特徴は、「問題文を読んですぐに方針が立つようにはなっていない」ということで、それに対応する力を付ける必要があります。

なぜ、問題文を読んですぐに方針が立たないのでしょうか?

数学の問題は「条件」が与えられていて、何々を示せとか何々を求めよといった「結論」があり、この「条件」と「結論」をつなぐことを「問題を解く」と言いますが、東大・京大の問題では両者の距離が遠いのです。「条件」が複雑であったり抽象的であったりして、状況を把握するために必ず「調べる」という作業が要求されます。「結論」がぼかされているときもあります。こういうことかなと勘を頼りに進んでいくと、気付いたら全く関係のない方向に進んでいたなどということもあります。やはり、「結論」を分析し、明確な方針を得るための「調べる」という作業が大切になります。

 

稲荷塾では「演習1」のクラスで標準問題を解くための知識と技術を学び、「演習2」のクラスで上記の2つ(深く理解することと問題の読み解き方)を学びます。

これが「どうしたらそのような発想ができるか」という問いに対する私の答えです。