期待値の勉強をしよう!

今日はクイズです。

まず、次のような数学の問題がありました。

「サイコロを振り、出た目の数かける1万円がもらえるゲームに参加した。ただし、1回目の目に不満があれば2回目を振ることができ、2回目を振った場合は2回目の目かける1万円がもらえる金額になる。2回目を振るかどうかの判断基準をどのように設定すればよいか?」

この問題に対して牧君という生徒が次のように答えました。

3が出たとする。もう1回振ることでもらえる金額が増えるのは4、5、6が出た場合で、増える確率は3/6=1/2。一方、もらえる金額が減るのは1、2が出た場合で、減る確率は2/6=1/3。増える確率の方が減る確率より高いのでもう一度振るべきだ。

4が出たとする。もう一回振ることでもらえる金額が増える確率は1/3で減る確率は1/2となる。減る確率の方が増える確率より高いのでもう振るべきではない。

この解答は誤りですが、どこがどのように違うのか、彼が納得するように説明できますか?

 

これは25年ほど前に実際にあった話です。

1994年に予備校講師になった私は驚くほどの自由時間を得て、母校の向陽高校に将棋の指導に行くことにしました。そのときに牧君と知り合いました。そしてその後、彼が浪人したことで、初代生徒になったのです。1997年に稲荷塾を開講する前の話でした …

 

で、上の問題ですが、どのように説明すべきか、私は一瞬うっと詰まりました。

そして捻り出したのが次の内容です。

たとえば6の目が出たときだけ1億円もらえるとしたら、それでも同じ基準にするか?

この場合、1回目に5が出たとして、牧君の基準にしたがうとすれば、もらえる金額が増える確率は1/6で減る確率は2/3、減る確率が高いので2回目は振らないということになります。しかし、もう1回振れば1/6の確率で1億円もらえるのであれば、常識的に考えて、誰でももう1回振りませんか?

ここでは増える減るの確率が重要なのではなく、もう一回振ることでもらえる金額の期待値が1回でやめた場合の金額より大きいかどうかが重要だったのです。

 

昨日の数ⅠAでちょうど期待値の勉強をしたので、みんなに出題してみましたが、牧君の誤りを明確に指摘できた生徒はいませんでした。