勝てる道を探せ

テニスが強いかどうか、技術が伸びるかどうかは運動能力によって決まるのでしょうか?

運動能力とは筋力の強さがどうか、スピードの有無、それに目が良いかどうか、さらには身長が高いかどうかといった体格差なども含まれ、こういったことの総合力でその人の実力が決まっていくのかと問うているのです。

私は違うと考えています。

 

私の友人の上田氏は「ボールを打つ技術が 4-6 ならこちらの勝ち。3-7 なら勝負」と言っており、実際、勝てそうにないようなジュニアの強豪によく勝っていました。

運動能力以上に、相手の思考や心理を読んで適切な判断をすることや集中力を持続させることの方が重要だというわけです。

さらに裏ワザとして、高校生に勝つための必殺技を準備していました。

彼と対戦する高校生はなぜか集中力を失い、その結果判断を誤り自滅していくのです。

どうしてそうなるのかを尋ねたとき、彼は言いました。

「簡単やで。コートチェンジのときに声をかけるねん。『あのな、もっとはっきりとコールしてくれるか』と言うねん」

自分のサービスゲームではカウントを相手が聞こえるようにコールするのがルールになっていますが、ジュニアの子たちはほとんどこれを守りません。それで通用するからです。というか、分かり切ったことを確認するためのコールをかっこ悪いとさえ思っているのです。

でも、ルール違反はルール違反です。

ここを突くのです。

要するに「君はルール違反をしてるよ」と暗に指摘するのです。

ジュニアの子は確実に動揺します。嫌なことを言うおっさんやなぁ … などと思いながら、間違いなく冷静さを失うのです。そして普段以上に強い球を打って相手をねじ伏せようとしてミスをします。ミスするとますます苛立ち、正常な判断力を失うのです。

まあ、こういった裏ワザを使うかどうかは別として、判断力や集中力が運動能力以上に重要だということは明らかです。

 

勉強も同じだと思います。

新しい概念を習ったとき、それを理解する能力が高い方が有利に決まっています。

しかし、それだけで勝負が決まるのではありません。

それを身につけ、使えるようにするための作戦を考え、その作戦を長期にわたって実行することの方がずっと重要です。つまりこれはモチベーションや安定した心と関係しています。

自分の目に見える能力だけを見て上限を決めてしまったりしないで、勝てる道を探してほしいです!