中学数学のクラスについて

今回は稲荷塾中学数学のクラスについて書きます。

 

中学数学と高校数学では学ぶ量の比がおよそ1対5です。

ですから稲荷塾では中学数学を中学1年生の1年間で仕上げます。そして中2から高校数学に入るのです。

これはちょうど灘の進度と同じで、非常にバランスがいいです。他の中高一貫校も、かつては横並びで2年間かけて中学数学を学ぶようにしていましたが、この1、2年で変化が生じ、灘の進度に近付けようとしています。

学び方としては、まず最初の半年で公立中学での復習用問題集を使って中学数学全部をやってしまいます。その後稲荷塾オリジナルテキストを使って復習と演習をします。全体像が見えてから演習をすると効率がよく、この演習に大体5カ月ぐらいかけます。そして最後に高校入試問題を使って演習し、高校数学に入る準備をします。

 

授業は個別指導形式で、それぞれが自分の進度に合わせて勉強します。稲荷塾卒業の京大生(4人)または阪大医学部生(2人)のチューターが至近距離に座り、新しい単元に入ればその説明をし、問題に詰まればそれを解決します。また松谷君(稲荷塾講師で稲荷塾出身。2000年に洛星を卒業し現役で東大理Ⅰに合格)が全体を監督していて、進度のチェックをし、小テストを実施、さらにチューターの手が回らないことがあれば説明に加わることもあります。

宿題は日々10分もすれば十分にこなせる程度のものです。

授業3回に1回、20分程度の小テストをして理解を確認します。

もし進度に遅れが生じた場合は土曜日に来て挽回します。土曜日は14時から21時の間で利用することができ、授業を休んだときの振り替えをしたり、これは主に高校数学のクラスの生徒ですが、質問できる環境で自習したいと考える生徒も来ています。余分の費用は不要です。

 

生徒の構成は私立の生徒が多いですが、4、5人に1人の割合で公立の生徒もいて、彼らは高校受験をしなければなりません。

高校受験をする場合でも、中2から高校数学に入ります。高校受験の難しい問題は数ⅠAから下りてきていて、数ⅠAを学ぶことにより高校受験の問題が簡単に感じるようになるからです。それから何と言っても高校に入学後数ⅡBから学び始めることができるところが大きな利点です。

中2から数ⅠAを始めた場合、半年で次に進めるレベルに到達できる生徒は少なく、多くはもう一度数ⅠAを学び、結局1年間数ⅠAを学ぶことになります。そして中3の1年間は高校受験の勉強をするために一旦稲荷塾を離れます。高校に合格後もう一度稲荷塾に戻って来るのです。

しかし中には半年で数ⅠAを仕上げて数ⅡBに進む生徒もいます。そういう生徒は高校受験にも余裕があることが多く、そのままの勢いで中3になってから数Ⅲを学び、中3の9月から高校受験の態勢に入るということもあります。

今年度であれば、そのように進めた1人が膳所の理数科に入り、もう1人が堀川の探求科に入りました。2人とも高1から演習1のクラスに入ったので、彼らは3年間演習できることになりました。

 

最後に中学数学クラスでの目標と注意点を書いておきます。

高校数学に入ってから苦戦する生徒を見ていると、中学数学レベルの代数の処理が遅く不正確であることが多いので、そこをまず鍛えておくこと、それから幾何の証明問題で頭を捻っておくこと等が中学数学を学ぶ際の目標になります。

しかし、中学数学の段階では非常によくできたのに高校数学に入ってから急に成績が落ちる生徒もいます。これは中学数学では高校数学に比べて覚えることが随分少ないことと関係しており、深く理解していなくてもやり方を覚えてしまえば点数が取れるようになっているからです。そうならないために、点が取れればよしとする勉強法ではなく、一つ一つを理解して積み上げていく勉強法を身に着けることが大切です。