センター試験で確率分布と統計的な推測を選択するのは得か?損か?

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松谷です。

センター試験で、確率分布と統計的な推測をとるのは得か?

というのを考えてみました。確率分布統計的な推測の元になる数1Aのデータの分析のまとめpdfもupしましたので、ご活用ください。データの分析まとめ

 

まだあと4年ちょっとくらいは、センター試験の数Bでは、

数列、ベクトル、確率分布と統計的な推測

の三分野がありまして、センター試験では3分野から2分野を選択するという方式です。数列とベクトルをとる人が99%ではありますが、確率分布と統計的な推測(以下、確率統計)をとることもできますのでね。

補足しておきますと、今の中1生が高校生になるところから新課程になります。新課程生は教科書の数2B範囲には、ベクトルの代わりに統計的な推測が入るわけですね。その範囲は今の確率分布と統計的な推測の部分に仮説検定の話を加えた内容になります。ということでその前に研究しておこうという意味もあります。

結論から言うと、数列とベクトルを2次試験レベルでがちがちにやっている高3生で確率統計の勉強をしたことがない人はわざわざ確率統計をとる必要がないと思います。

ただ、文系の学生とかでセンター試験の数2Bの時間がどうしても足りないけど学習する時間はあるとか、2次試験はなくてセンター試験でだけ数学が必要、でも数列ベクトルはなかなか難しいと感じるとかいうような生徒にとっては確率統計が一つの選択肢にはなりうるとは思います。

学年が若いとか時間がすごくあるならまったく別です。自由にやればいいと思います

 

以下で確率統計を選択することのメリットとデメリットを挙げます。

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メリット

数列ベクトルより高得点をとるのが簡単である。

数列ベクトルより高得点をとるまでの学習時間が短くて済む。

数列ベクトルより問題解答時間が短くできる可能性がある。

デメリット

センター試験でしか使えない(大学ではある)

学習時間が短いとはいえなんだかんだ10時間くらいはかかる。

いろんな定義とかがあってまあまあ最初覚えるのが大変。

解答時間を短くするまではまあまあ練習しなければならない。

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上のように思ったのは僕の体験からです。以下に体験を述べます。少し長いですので、興味ある人だけ。

 

僕は、大学で確率統計の勉強を単位をとるためにしたとはいえほぼ完全に忘れていましたので今一度勉強をしてみました。本屋で適当な参考書を選んで、

「教科書だけでは足りない確率分布と統計的推測」という参考書(7,8時間くらい?)→「数研出版の教科書」(3時間くらい?)→センター試験過去問3年分(1時間くらい?)

というように勉強を進めていきました。

最初の参考書読んだときに、結構覚えたりするのが頭になかなか入らなくていつもなら7時間くらいの勉強なら一気に1日でやるのが普通なのですが、全然できなくて、1.5時間ずつくらいぶつ切りで学習することになってしまいました。ぶつ切りで勉強するので前のことを思い出さなきゃいけなくて余計時間がかかるみたいな負の連鎖でした。。正直なかなか夢中になれなかったというのが僕の感覚です。「~ということが知られている」「~と近似できる」「十分大きいとすると~」みたいなもやもやするところが多く、結局その背景が大学で学ぶような話に依拠しているわけですね。そこに突っ込んでいくのももちろんさらに大変になりそうなので、とりあえずスルーしていたからか頭のなかがすっきりしないまま勉強するという感じでした。参考書は丁寧に書かれていましたので参考書のせいではないと思います。分野の特性か僕の性格の問題だと思います。

参考書のあとに一応教科書を一通り読みました。何か参考書部分で漏れがないかとか見ていたのと、2冊くらいの本をみたりやったりするとなんとなく内容が自分の中で体系化される部分がありますので。参考書に記述がなかった確率密度関数を理解したり、グラフを用いて大数の法則とか二項分布が正規分布に近似できることを説明していたので納得感を高めたりすることができたかなと。

ひとつ驚いたのは教科書では50ページ以上割かれていました。数列が40ページくらいだったので数列より学習内容は多いといえるわけです。新課程ではこれに検定まで入ってきますから教科書の分量的にはベクトルの代わりになれるわけですね。ただ、僕は、教科書の内容については、参考書にほとんど載っていたので、そらへんは読むだけにして問題などは解かずに進めて最後の章末問題だけ解いていましたので3時間程度で学習できました。初学者が教科書を最初にやるなら10時間くらいかかるんじゃないかなと思います。でも教科書は問題の解答解説がないのでそれはちょっと厳しいんですけどね。。。。教科書ガイドか。。。

解いてみたセンター試験過去問では、2016年、2017年、2018年とやって、

かかった時間が16分→13分→12分で2016年と2018年で1個ずつ小数計算のミスをしていましたが、、、、まあだいたい満点取れるようになったと言えると思います。平均13,14分くらいですか。最後の方に慣れてきたという見方もできますが。

東大京大医学部阪大くらいを目指す生徒が数2Bの数列やベクトルにかける時間は何分くらいでしょうか。普通は10~15分くらいです。かなり計算が早い人以外は13分くらいを目安にしている人が多いんではないでしょうか。

とすると、今ちょうど同じくらいの所要時間ですね。確率と統計的推測でもっと早くすることはできそうです。多分慣れれば安定的に10分以下くらいで解けそうな気はします。多分あと10回分くらい試験問題を解けばそうなるでしょう。つまりあと4時間くらい学習すればそうなるということです。それは結構コストパフォーマンスがいいなとは思います。なぜなら数列やベクトルで安定的に10分くらいで解こうと思ったらかなりの修練が必要だからです。どれくらいかっていうと東大京大医学部に合格レベルの2次力がないと普通その域に達しません。

では、みんな確率統計にしたほうがいいんじゃないか!とはやはり僕は思えません。

そこまでした場合にはトータルの学習時間が15時間くらいになるわけですけれど、高3生が今この段階で新しい学習を加えるのはやっぱり負荷が高いと思うんですね。

そしてそもそも稲荷塾の生徒に関しては数列もベクトルも基本的に満点取ってほしいと思っていますのでね。センター数2bで70点がなかなかいかないって人だったら迷いなく勧められますが。

ということで一番最初に言ったような結論になったわけです。

 

まぁ、勉強時間があまっていてやってみたいっていう人とかはやる価値はあると思いますけどね。あと新しいことが好きとかね!あっ、学年が若いとかもですね!

 

最初はもやもやしていた自分も、最後の方に、確率統計の知識が現実に生かされている問題を何個か解くうちに好奇心がくすぐられ面白さを感じていきましたので。学問って本当はそんなものなのかなって気もしますし。

そして、今の中1以下の人は否応なしにこれを学習する流れに放り込まれますのでね。

自分自身も背景にある理論的な部分をもう少ししっかり研究して生徒に伝えられるようにしつつ、現実的な部分の適用を問題に組み込んで教えられるようにやりたいと思います。