稲荷塾の目指すところ
あるとき、灘高の入試問題を十数年分一気に解いたことがあります。
最初の1、2年分を解いたとき、とても時間内に満点をとるのは難しいと感じました。
一般的には、数ⅠAから引っ張ってきたと思われる問題が多いことが難しい原因です。しかし、私にとってはそれはむしろ簡単に思える材料でした。
では何が難しかったかと言えば、問題が汚いのです。問題文がやたらと長かったり、洗練されておらず、意味がとりにくい表現があったり、答えが汚い数字になったり、…
問題が汚いと、解く側からすると不安になります。思わず解き直したりして余分に時間がかかります。
初めは何でこんなに変な問題ばかりを出題するのだろうと疑問に感じました。
しかし、それに次第に慣れて、10年分ほど解いて満点をとるのがそんなに難しいとは思わなくなったあたりで気付きました。
汚い問題って結構いいと。
テキストを作ったりするとき、問題文が短く、答えがシンプルな値になり、… いわゆるきれいな問題を選ぼうとする傾向があります。私もそうですし、多くの問題集でもそうです。
ところが実際の入試では「きれいな問題」ばかりが並んでいるわけではありません。
ですから「模試ではいい成績だったのに本番では失敗した」なということが頻繁に起こります。
そういう意味で、普段から「汚い問題」に慣れておくことがすごく重要です。単に数学の力を付けるだけではなく、心理面でも強くならないといけないのです。
随分長い前振りになりましたが、最近、小テストのレベルを上げ続けています。
反転授業において、予習のレベルをチェックするために小テストをします。
これをやり始めた当初は、覚えるべきことを覚えてきているかどうかを確認する程度の簡単な問題を出していました。
ところが、数ⅠAクラスを半年で卒業できなかったある生徒が2回目の授業では見違えるような成績を取り出したことがあったのです。結局、1回目の受講のときの小テストを「予習」してきていたのです。
これじゃ意味がないということで、別の小テストを作ることにしました。そしてそのときに、ほんの遊び心で、問題のレベルをちょっぴり上げてみたのです。
これが効果的でした。
「大体分かったつもりでいたのに理解が甘かった」という気付きを得るということは、勉強の姿勢を変えることにつながります。
そうしているうちに、講師サイドからして「ここまで分かってほしい」という基準を示していくことににも意義を感じるようになりました。この段階で小テストのレベルはさらに上がりました。
そして、昨日の数ⅡBでは「答えが汚い数字になるもの」「計算がやたらとめんどうなもの」まで混ぜました。その意図は上に書いた通りです。
それなのにその小テストで80点以上を取った子もいました。
ふむふむ、
これはいい傾向です!
本気の子が集まる塾にしたいですねぇ!