分かりやすい授業はダメ
数ⅡBのクラスは上下2つに分かれていますが、レベルの差は大差です。
私は下のクラスを担当しており、ここではちゃんと予習して来させることが大きなチャレンジになっています。学校名だけ見ると、洛南、洛星、堀川の生徒で構成されているので、一見優秀なのではないかと思われますが、そんなことはありません。彼らの予習は甘過ぎて、小テストではいつも壊滅的な点数を取っているのです。
昨日は漸化式の前半でした。まず最初の説明を始めたらすぐに分かりました。今回も彼らは何も分かっていないと。
本来、「稲荷の独習数学」を読んでその単元の概要を理解して、そのあとテキストの問題を2ページ解いて来るのが予習です。問題を解こうとすれば、分かったつもりになっていたけれども細かいところが分かっていないだとか、実際的に問題が解けないという現実にぶつかります。それを克服するためにもう一度「稲荷の独習数学」に戻って説明を読み直し、テキストの問題との類題を探し、さらなる理解を得られるように努力するのです。そうして「大体のことが分かった」という状況に仕上げて授業に集まります。
授業の出発点はそういうレベルです。そこからさらに理解を深め、「できる」レベルにまで引き上げていくのです。
これが反転授業です。
なのに、下のクラスでは「稲荷の独習数学をさらっと読んできました」といったようなことを予習だと勘違いしているのです。昨日の授業では彼らの状況が特にひどいと感じました。漸化式のイロハも分かっていないと感じたのです。
そこで、いつもは40分から50分程度でポイント講義をするところを80分もかけて講義をしたのです。むちゃむちゃ丁寧に説明しました。
当然小テストはみんなほぼ満点を取るだろうと思いました。
ところが、今分かったと言ったばかりのことを問われて、彼らはまるでできませんでした。しかもいつも以上に点は悪かったです。
じゃあ、どうしたら彼らができるようになるのでしょうか?
結局、小テストでできなかったところを直そうとして「稲荷の独習数学」やポイント講義の板書をノートにとったところを繰ることによってしかできるようにはなりません。
つまり、分かりやすい授業は無駄だということです。
そういう受け身の姿勢では永遠にできるようにはなりません。
自分の意志でほしい情報を探しに行かない限り、決してできるようにはなりません。
ということで、ほんとは9時10分までの授業のはずが10時までかかってしまいました。
こんなことならポイント講義を40分もすること自体が馬鹿らしいです。10分か20分で切り上げて小テストに入る方がよっぽど効果的なんじゃないかと思います。
ですから、稲荷塾では分かりやすい授業をやめます。
「手取り足取り丁寧に教えます」なんてのも大嫌いです。
自分で考え自分で行動することを是とします。