素地を作るべし

週1回1時間の授業で算数全部を学ぶのに、どのぐらいの期間がかかるでしょうか?

稲荷塾は小学3年生以上を対象にしているので、九九以前の部分については教えていませんが、平均して1学年分進むのに2か月ぐらいかかっていることを考えると、上の問いに対する答えは約1年ということになります。

 

しかし、その後はどうすればいいのでしょう?

 

これが難しいのです。

非常に個人差が大きく、中学数学に進めばいい子とそうでない子がいます。

 

今回は進むとよくないケースを書きたいと思います。

それは概して2学年、3学年上のことをすることによって進度が落ちてくる子ですが、なぜ落ちるのでしょうか?

たとえば2桁の整数での割り算をする際に商を見積もることができない子は、掛け算や概数の感覚が育っていません。

つまり、今勉強していることが生活的体験と結びつかないのです。

割合でつまずく子も同じ傾向があります。

そうすると、今学んでいることが単なる作業になってくるので、当然面白くありません。

だから進度が鈍るのです。

 

では、どうすればいいのでしょうか?

 

買い物を通して割合の話を身近なものとして感じるとか、ほしいものがあって、お小遣いを何ヵ月貯めれば買えるだろうかと計画を立ててみる、ドッジボールをするのに11人集まった、さてどうするべきかと考える、… こういう当たり前の体験をたくさんすることが大切です。

そうすると、友達と外で遊ぶとか、スポーツのクラブチームに入る、家族で外食する、お父さんにどこかに連れて行ってもらう … こういうことが勉強よりずっと大切だということが分かって来ます。

勉強が仮に遅れていても、自信のある子はその気になればいつでも追い付くことできます。

家庭でよ~く話を聞いてもらっている子はどことなく落ち着いていて、心が安定していることが伝わって来ますし、そういう子は間違いなく伸びますが、その素地は一朝一夕に築かれるものではありません。

 

稲荷塾は塾ですから、塾生が勉強するように引っ張っているのですが、小学生部ではそうしたくないし、してはいけないと感じています。

いずれ嫌でも勉強しないといけなくなっていくので、そのときに伸びられるようにするべきだと思うのです。