稲荷塾は一番だ(その2)

クラブ活動等、熱中することを持ちつつ東大、京大を目指す中高生にとって稲荷塾は一番だ、と主張しました。

今回はその根拠を書きます。

 

まず、通塾が週1回で授業は午後7時10分からになっているので、通いやすいです。

塾は、そのタイプとして、塾で勉強することを主体とするものと、塾ではいい授業を提供し、家庭で勉強することを主体とするものに分かれます。

前者に多いのは小学生を対象とする塾や、補習塾系統で、授業回数は週3回、4回、あるいはそれ以上になります。

しかし、学年と学力が上がれば上がるほど諸事情を合わせることが難しくなり、そうすると後者に傾くことになります。

稲荷塾の場合週1回授業なので、家庭学習が主体です。さらに、午後7時10分からの授業にしているので、当日にクラブがあっても、基本的に通うことができるようになっています。

 

以上は前提条件ですが、特に重要なのはカリキュラム等のシステムと授業の質です。

順に書いて行きますが、カリキュラム等のシステムについて、特徴的なのは反転授業と演習授業です。

稲荷塾の反転授業では、数ⅠA、数ⅡB、数Ⅲのそれぞれが半年で学べるようになったので、大幅なシステムの向上につながりました。

たとえば高校受験をし、高校生になってから高校数学を学ぶ諸君は高校課程を学び終えること自体に時間がかかり、その後の演習時間を確保することに苦しみます。勢い、それを知っている学校側は補習や宿題を増やし、その結果、クラブ活動の時間が中高一貫校と比べるとかなり減ります。

しかし、数ⅠA、数ⅡB、数Ⅲのそれぞれを半年で仕上げられるとしたらどうでしょうか?

そうすると、高校数学を高1から始めたとしても高2の8月いっぱいで高校課程を終えることになるのです。

この効果は、第一に、演習の時間が確保できることになり、本来持っているはずの力を発揮しやすくなります。

さらに、副次的効果として、学校の勉強が楽になります。つまり、学校の勉強がすべて復習になるので、飲み込みやすくなり、したがって宿題も容易に処理できるようになるのです。

 

でもここで、稲荷塾の反転授業により、一般の2倍の進度で進むことができるようになったことについて、無理はしていないのかと疑問が生じると思います。

これに対する返答は、

無理はしていません、

ただ効率を上げただけです、

となります。

実は私もこの方法を試してみるまで、反転授業の何がよいのかがぴんときませんでした。

しかし今は、はっきり分かります。

通常授業は教師が板書して、それを生徒がノートに写して、それから説明を始めますが、この「板書して、写して」の時間がすごくもったいないのです。

もし、この板書とその解説が本になっていたらどうでしょうか?

当然「板書して、写して」の時間が省略されることになります。そして生徒は本を読み「大体分かった」という状態になり、そこからテキストの問題を解きます。問題を解くところで詰まれば本に戻って解説を読み直します。

ここまでの段階で従来の授業を受けたのとほぼ同じ効果を期待することができます。

では授業では何をするのでしょうか?

授業に参加する生徒は「大体分かった」となっているので、「本当に分かった」「実際に使えるようになった」というレベルに引き上げるために、ポイント講義をしてその単元を整理し直し、その後は小テストで理解度を確認して、最後に演習をします。

無理は全くありません。

なのに効果は上がり、進度は2倍になりました。

要するに「板書して、写して」の時間が想像以上に非効率的だったのです。

こうしてみると、これまで私が授業で話してきた内容を「稲荷の独習数学」という本にまとめることができたのが大きかったです。

ちなみに言うと、

もともとはそういう目的で書いた本ではなく、稲荷塾方式により独力で、学校より早く中学数学を学び終えた生徒が自ら高校数学を学んで行くための助けになるようにという目標で書いたのです。

「小さな数学塾のヒミツ」と「頭のいい子には中学受験をさせるな」を書いた後、そういう要望が全国のあちこちから届いたということがあり、よしっ、ということになったのです。

ですから、数ⅠAから数Ⅲまでを1冊にまとめるため、つまりページ数をかせぐために三角比と三角関数をひとまとめにしたり、数ⅡBの微分積分を数Ⅲの中に入れてしまいました。

反転授業で用いるときにこの部分だけが少し不便です。

しかし自分の授業をベースに、それを整理し、まとめた本が出せて、反転授業で用いるなどという思ってもみなかった用法を見つけることができ、本当にラッキーでした。

to be continued