子どもの成績を決める第三の要素

日本のお年玉に相当するものがシンガポールにもあり、その袋には子どもに対して期待することを書くそうです。

それで、どのようなことが書かれるかと言えば、非常に高い確率で「勉強の成績が上がりますように」というような内容になるそうです。

これに象徴されるように、シンガポールでの小さいころからの塾通いは常習化され、その結果、国際的な学力調査なんかでは常に上位に位置することになるのです。

しかし、それが本当の学力でしょうか?

 

子どもが小学生の間は、家庭がどのように学習環境を整えたか(これを A とします)ということによりその成績が決まるケースが多いです。

それともう一つ、その子の持って生まれた特性(B)も成績に大きな影響を与えます。

ですが、子どもが中高生になるころには、別の要因 C が重要な働きをするようになり、A の影響を凌駕するようになります。

さて C って何でしょうか?

それはその子のモチベーションとか目標に対する意識です。

つまり A で成功したからと言って、そのままの体制を続けようとすると、子どもが中高生になったときに反発が起こるようになるのです。

自立して行こうとする子どもにとって、親の干渉が疎ましく感じられるようになるのです。

ここから重要になるのは、親自身が何らかの分野で向上のための努力をしていること、要するに親が一生懸命に生きているという背景に持って子どもと関わるということです。

その頃になると子どもはいろんなことが分かるようになり、親に対しても批判的な目で見ることが多くなります。

誰かから聞いたとか、何かを読んだといったような、実績を伴わない方策は説得力を持ちません。本物でしか勝負できないのです。

そうすると、両親の関係もすごく重要になります。

子どもは親が使う言葉を呼吸して育って行きます。深い関心を持った言葉なのか、そうではないのか。物事の決定権が一方に偏っているのもよくないです。感情的な言葉なのか、理解するために努力する姿勢を持った言葉なのか …。

このように考えて行くと、完璧な家庭なんてないということが分かります。

ですから努力が必要です。

若いころは別として、十年、二十年、さらにそれ以上一緒にやって行こうとすれば、必ず努力が必要になります。

つまり C に関係するのは、親の生き方です。

私はそう思います。親の人生と子どものそれは一体不可分で、完全につながっていると思います。