不正か?Part2

神戸大学医学部の推薦入試で、都市部でないところに住んでいる生徒に25点の加点をしていたという報道がありました。

同じような話をある医大の先生から直接聞いたこともあります。

一つは、受験情報に触れる機会は都市部とその他の地方ではかなり大きな差があり、同様の得点で入学した生徒であれば地方出身者の方がその後伸びる可能性が高いということです。

もう一つは地方で医師が不足しているので、地方で働いてくれる医師を確保したいということです。

各都道府県の国公立大学医学部が地域枠を設けているのも同じ意味です。

さらに、卒業後大学が指定した地方で働くことを約束して入学した学生には高額の奨学金を支給しているのも同じ目的です。稲荷塾の卒業生にもその奨学金をもらっている(いた)生徒が何人かおり、その金額を聞いたときは驚きました。学生がもらっていい額をはるかに上回っていると感じました。

 

さて、25点の加点がどの程度の重みをもっているのかを書いておきます。

これは配点や母集団によっても変わるので一概に述べることができない面もありますが、かなり大きな加点です。

私が予備校講師だったころ、京大理系クラスは大体80人ぐらいの生徒数でしたが、ほぼ毎年、1点未満の差で不合格になった生徒が混じっていました。センター試験の得点や2次試験の得点が学部により傾斜換算されるので、各自の得点は1点刻みになっているわけではありません。ですから、「1点未満の差」ということが起こりうるのですが、そういう差で不合格になった生徒は大きなショックを受けるのが通常です。「あのミスをしていなかったら …」という後悔が押し寄せてくるのです。

結局、神戸大学医学部を受験しようと思う生徒に優秀でない生徒がいるはずもなく、かなりの接戦の末合否が決まるのです。

とすると、25点の加点とは一体どのようなハンデでしょうか?

 

そういう意味で、受験生の立場から見ればこの加点は不正だと感じるでしょう。それは間違いありません。

しかし、地方の要請や大学側の事情も分からないわけではありません。

まあ、難しい問題です。

 

ところが、岩手医科大学で落第した生徒の親が入学時に払った3000万円の寄付金を返せと訴訟を起こしたという話はどうでしょうか?

なんだかねぇ …

これは双方のレベルが低いような気がします。