生徒募集

「勉強してこなかったから成績は悪いけれどもこれから頑張るつもりだ」という発言を以前は信じることが多かったです。

というのは、私自身、そういう経験をしたことがあるからです。

私は高2の春に将棋の奨励会に受かり、その後高2、高3と文字通り1分も勉強しませんでした。ほとんどの授業を寝て過ごし、学校が終わると道場に直行するという生活をしていたのです。

ですから、高校卒業時にプロになる夢をあきらめ、大学受験のために勉強すると決めたときの学力はとんでもなく低かったです。当時、テストなしで入れる予備校は2つしかなく、そのうちの1つの関西文理学院に通うことにしたのも、もしテストがあったら、どこにも入れないと思ったからです。

そして間もなく学力診断テストがありました。200人ちょっとのクラス中で196番でした。なぜ順位を覚えているかと言うと、自分より下に数人いたことに驚いたからです。えっ、俺より下がいるのか … てな感じで。

その後私の成績は順調に伸び、夏以降は予備校内のすべて模試で1番から下ることはありませんでした。まあ、伸びたわけです。

しかし、この業界に飛び込んだ後、これがレアーケースであることを知りました。

「勉強してこなかったから成績は悪いけれどもこれから頑張るつもりだ」と言った子で、劇的に成績を伸ばした生徒は「小さな数学塾のヒミツ」に書いた三木、たったの1人です。

大概は低迷状態から脱出することさえできないのです。

こういう状況を見ながら、今ではそういう発言に対してすごく懐疑的になってしまうようになりました。

ということで、稲荷塾は一定の学力以上の生徒を募集します。

その一定ラインに至っていない場合は、まず、自力でそのレベルをクリアしてから来てください。

 

将棋の話が出たので、少し余談をしておきます。

現在プロ棋士は172人います。その強さをレーティングで測るのですが、1600点台が39人、1700点台が26人、1800点台が4人、1900点台が1人います。

さて藤井君は何点でしょうか?

2037.5点です。

1人だけぶっちぎっているのです。

すごいですねぇ!

だから注目されるのですが、あまり表舞台には出て来ないような棋士でも実際上天才です。

プロになるためには奨励会を卒業しないといけないのですが、多分3人に1人ぐらいしか卒業できていないと思います。

もっと言えば、奨励会に入ること自体が難しいです。私のときも西日本でそれなりに有望とされる若者が6人受けて、受かったのは私だけでした。

厳しい世界なのです。