「稲荷の独習数学」について

「頭のいい子には中学受験をさせるな」は面白い本ですねぇ!

なんて、自分で言っても変ですが、何か、勢いがあります。

稲荷塾の反転授業が始まってから、新しい発見がいっぱいあり、その主張点が変わった部分もあります。

しかしそれでも、情熱のほとばしりを感じることができ、刺激を受けます。

今日は「稲荷の独習数学」を書こうとしていることについて触れた部分を紹介します。

ではどうぞ。

 

p.52で高校数学を家庭で学ぶために、「何かいいツール」が必要だと書きました。
高校数学に入ると、それまでと比べると学ぶ量が飛躍的に増え、個々の内容が格段に難しくなります。これに子供が取り組んだとして、
次々に生じてくる疑問に的確に答えることができる親が少ないことも確認しました。
ではどうすればよいのでしょうか。
結局人から学ぶのがベストだと私は考えていますが、案外これが難しいのです。
たとえば塾で学ぶとした場合、いくつかの問題があります。
ひとつには、塾によっては、その塾が想定している学年より下の学年の生徒を受け入れることを嫌う場合があるのです。
また、レベルの問題もあるかも知れません。
つまり、最終的には東大を受験してみようかと考えるような生徒をその塾が対象にしていないかも知れないのです。
結局、しっかり教えてくれる先生を見つけることができない可能性があります。
そこで、もし見つからなかったときのために「何かいいツール」を考えておきたいと思います。
それは参考書です。
初学者のために基本的なところから丁寧に説明してあり、そのセクションを学ぶ意義や他分野とのつながりについても分かりやすく解説されているということが必要で、
かつ、その土台の上にいくらでも学力を積み上げることができるように、基礎となる部分についてはかなり突っ込んだ説明がなされているような参考書です。
しかしこんなに都合のよい本がどこにあるのでしょうか。
私が調べた限りでは、見つかりませんでした。
既刊の参考書の基本的なスタンスとしては学校で習うということを前提に、それを整理し直したり、補充したりしてサポートするということになっており、
その本で一から学ぶという作りにはなっていないのです。
では一体どうすればいいのでしょうか。
幸い、今すぐに稲荷塾方式の勉強を始めたとしても、高校数学にたどり着くまでにはまだ時間の余裕があります。その間に私がいい参考書を作ります。
実は、この目的にかなった本がないと判断したときから、私は数学の本の原稿を作り始めており、現時点で既に9割以上の部分ができています。
諸事情により本書の方が先になってしまいましたが、本書の原稿ができ次第、それの完成に向けて取り組みたいと考えています。
簡単に内容を紹介しておきます。
基本的には、稲荷塾での私の授業を再現した形になっています。
つまり、1つのテーマについて問題が2問準備されており、次の3段階を通して説明を進めていきます。

  1. 導入の説明をする。
  2. 1問目を使って、その使われ方を説明する。
  3. 2問目を自分で解いて内容を確認する。

この中では、特に「導入の説明」に気を使っています。上で「初学者のために基本的なところから丁寧に説明してあり、そのセクションを学ぶ意義や他分野とのつながりについても分かりやすく解説されているということが必要」と書いていることを実現させるためです。
また、ポイントがぼけないように例題は最小限にしていますので、骨組みを理解し、何度も繰り返し学習するのに都合がいいようになっています。
ただし演習用としては問題数が足りないので、他の問題集を併用することが必要です。
さらに、他の参考書には載っていないような技術について言及している部分が多く、深い知識が身に付きます。「その土台の上にいくらでも学力を積み上げることができるように、基礎となる部分についてはかなり突っ込んだ説明がなされている」と上に書いた通りです。

 

当初は反転授業に使うことなど全く念頭に置いていなかったのです。

最初の2冊が出た後、稲荷塾には通えないような地域から、高校数学を家庭で独習する方法はないのかという問い合わせを多数いただき、それに応えようとしていたのです。

「頭のいい子には中学受験をさせるな」が出たのが2013年12月25日、「稲荷の独習数学」が出たのが2015年7月30日です。

頑張ったんですねぇ …

そして来年、高校課程の変更に伴い新しく導入された「データの分析」「統計的な推測」を加えて「稲荷の独習数学」は改訂されます。

これを教材にしたオンライン講座を受講してもらえば、まぎれもなく、高校数学を独習することができるようになると思います。