体験記 その6

去年は厳しい入試でした。ほぼ間違いなく受かるだろうと思っていた子が2人も落ちました。
今年は逆でした。かなりの幸運がないと難しいと思っていた子が3人も合格しました。
一つは文系の数学が難化したこと。これによりほとんどの受験生が十分な点を取ることができず、したがって数学で負けるだろうと思っていた2人の子が思ってたほど負けなかった、いやむしろ勝ったんじゃないかという状態になり、結果として合格しました。
もう1人は今日紹介する大西さんです。
そのヒミツは体験記中にあります。その部分をブロック体にしておきました。
ずっとハンドボールをやっていて体力があったし、根性もあった …
何か北野の子は同じような雰囲気を持っていますねぇ!
とにかく勝負強いです。
ではどうぞ。
京大 農 大西穂佳 北野
私が稲荷塾に入塾したのは高二の春でした。当時は漠然と、数学を伸ばしたいなぁと考えていて、知人の勧めもあって入塾を決めました。
それまで私は数学に対してあまり苦手意識はありませんでした。しかし実際に授業を受け始めると、学校で習わないような高度なことまで扱っていたので困惑しました。内容は難しかったものの、先生の説明は分かりやすく、話もとても面白かったので毎週毎週通うのが楽しみでした。
しかし、数学が楽しいのと出来るのとは大きく違います。私は数学が楽しかったうえに、自分に都合のいいことばかり覚えている性格なので出来た問題ばかり印象に残り、自分は数学が得意だと思っていました。
ある日稲荷先生に「大西ちゃんは数学が弱いからなぁ」と言われ、初めて私は数学が出来ないんだと気付きました。そこからは復習のやり方を変え、ひたすら勉強の精度をあげるよう努めました。具体的には、必ず授業中に疑問を解消し、次の日の朝一で全て解き直します。それで詰まった問題は、また次の日の朝に解きます。それを毎週繰り返しました。つまり、いつも先生のおっしゃる「再現」を、一番頭が冴えている朝一に徹底して行いました。そうすることで、徐々に解ける問題が増えていったことが実感としてありました。
直前演習では、単純なミスを繰り返していました。これは今に始まったことではなかったので、しっかり対策しなかったことを後悔しました。本番でもやってしまったらどうしよう、と不安でいっぱいでした。そこで、ミスを全て書き出し、さらに過去に解いた問題を確認してどこでミスをしたのかを洗い出すことにしました。すると、自分が弱い所の傾向がつかめてきたので、本番でもそこを意識することができました。
この一年間、特に最後の一ヶ月は自分でこれ以上することができない程一生懸命勉強しました。試験直前の休み時間は、先生方のコメント付きの答案用紙などを見返して、心を落ち着けていました。目標からは程遠い点数でしたが、それでも本番では今の私の実力を出し切れたと思います。
私がずっと行きたかった大学に合格することができたのは稲荷先生、松谷先生のご指導のおかげです。稲荷先生の授業は良い意味で授業らしくなく、連発するギャグに四六時中笑っていました。松谷先生は見てもらった期間こそ短いですが、一人ひとりに対して親身になってくださり、テスト返却のコメントは私にとってすごく力になりました。稲荷塾では数学だけでなく他教科の勉強法や心構えなども教えていただきました。稲荷塾無しでは合格できなかったと、今思い返して改めて思います。本当に感謝しています。二年間、ありがとうございました。
後輩へのアドバイス
私からこれから受験を迎えるみなさんに伝えたいことは3つあります。
1つ目は、一問一問に対して真摯に向き合うこと。勉強は質が大事とよく言われます。本当にその通りです。まだ本番が遠いと難しいと思いますが、出会った問題すべてが自分の血肉となるという意識で解くようにすると、しないのと比べて得られるものが何倍も多くなります。これは模試や、実際に過去問を解くときに実感できると思います。
2つ目は、生活習慣を確立すること。質が大事と今書いたばかりですが、勉強時間がごく短ければ意味がありません。なので、早いうちから生活に一定のリズムを作り、毎日必ず同じ時間から同じ時間だけ勉強する癖をつけることを強くお勧めします。そうすると、多少長い時間でも勉強し続けられる体力、忍耐力がつきます。
3つ目は、楽しむこと。何事も楽しくなければ長続きしません。もっても一ヶ月だと私は思います。楽しめと言われてもなかなか難しいところがあると思うし、楽しみ方は人それぞれですが、勉強の支障にならない程度に息抜きを入れることは非常に大事だと思います。勉強の中に楽しみを見出せるのが理想です。
受験には不安はつきものですが、最後まで自分を信じて、諦めずに頑張ってください。応援しています。