私でさえ数秒考える問題があった
今、一番将棋が強いのは渡辺明でレーティング1932点です。
レーティングというのは勝てば点数が増えて、負ければ減るわけですが、レーティングが同等の者が対局したときに変動する値を基準にして両者のレーティングの差の何パーセントかがプラスされたりマイナスされたりします。
ですから、ある程度の対局をこなせば、その人の実力をかなり正確に表すことができるようになっています。
そのトップが渡辺明1932点で、最下位1218点から165人の棋士のレーティングが大きな偏りなく分布しています。ちなみに藤井君は3位で1895点です。
それで、この前まで私がやっていた問題集が結構難しく、その難しいことを渡辺明が「私でさえ数秒考える問題があった」と表現していました。
これってすごい表現ですねぇ!
まあ、その通りなんでしょうけど。
アマチュアとしてはかなり上の方にいる私が解いたとすれば、大体1分以内に決着がつき、ときには数分かかる問題もあり、中には10分、20分かかる問題もあり、一番てこずった問題には1時間以上かかりました。
それを「私でさえ数秒考える問題があった」と言われたら、「そうですか。そうでしょうねぇ …」と言うしかありません。
見えるスピード、範囲、正確さを比較した場合、能力差は10倍ではまるでききません。100倍かひょっとしたら1000倍か、要するに桁違いです。
同じ人間がそこまで行けるとはとても思われないようなレベルです。
どんな分野でも、トップの人たちはそうなんでしょうねぇ!
私の数学の師匠のD先生もかなりやばいです。京大の問題なら、問題文を読み終わった瞬間からカンカンカンと鉛筆が走り始めます。う~ん、と唸っている姿を見たことがありません。
まさしく「私でさえ数秒考える問題があった」というレベルです。
ところで昨日、演習数Ⅲの授業をしていて思ったのですが、見えない子は本当に見えないのです。というより、ほとんどの子がまるで訓練不足です。見えるスピード、範囲、正確さ、どれをとっても全然足りません。
問題文に「こうしてください」と書いてあるような問題でさえ、あさっての方向に向かって動き始めるか、全く動けないかのいずれかです。
ですから、数学そのものを伝えるとともに「問題の読み方」から説明しなければならないと感じました。
つまり、もうぎりぎりです。高3のこの段階でこのレベルであれば、相当に急ぐ必要があります。夏休みが始まるまでにはある程度形にして、夏休みは理科を中心に勉強しないといけないからです。
塾も優秀な生徒が集まった学年とそうでない学年がありますが、今年の高3は近年にないほどの大苦戦です。
ですから、ついつい厳しめの叱咤激励をしてしまいます。まあ、くじけずに頑張ってほしいです。