東大・京大の問題はなぜ難しい?

東大・京大の問題は他の大学の問題とは一味違います。

解法のパターンをたくさん覚えることで解ける問題が増えていきますが、その延長では到達することができません。

 

この課題に私もぶつかりました。

数学を教える仕事を始めてからも東大・京大の問題は非常に難しいと感じていました。

解答を見て、それを理解することができても、自分でその発想ができるとは思われませんでした。

当然、そのレベルの問題について解説ができるとは到底思えませんでした。

ですから、勉強しました。受験生の10倍は勉強したと思います。

そして次第に東大・京大の問題の難しさの本質が分かるようになりました。

 

数学の問題は

  1. 条件
  2. 結論

が与えられており、この2つをつなぐことを「問題を解く」と言います。

ところが、東大・京大の問題ではこの 1. 条件と 2. 結論の距離が遠いのです。これが東大・京大の問題の難しさの本質で、だから何をしたらいいのか分からない、一体どこから手を付ければいいのかが分からないという困難に直面します。

上にも書きましたが、これは解法のパターンを覚えるという勉強法では克服することができません。そうではなく、 1. 条件と 2. 結論の距離を縮めるための技術を知らなければならないのです。要するに、何が問われているのかを明確にするということですが、多くは「どういうことですか?」と逆に問い返し、「調べる」ということです。

つまり、受験生が知るはずのないことやちょっと読んだだけでは分からないことが問われるので、その段階で「知りません」とか「分かりません」と答えてはいけないのです。

大学側もそんなことを知っていたり、天才的なひらめきで分かってしまうような学生を想定しているわけではないのです。

 

そしてここが重要な点ですが、標準問題を解けるほどに解法のパターンを身に付けた生徒であれば、必ずこの「調べる」ための技術を修得することができるのです。

 

このテーマで今回本を書こうとしています。

出版予定は来年2020年春で教学社(赤本で有名なところで、「稲荷の独習数学」も教学社です)から出ます。元々は今年の春に出そうとして準備を進めていましたが、諸事情により1年遅れてしまいました。

出版時期が遅れたことにより、一旦できていた原稿を見直すことになり、1章を削り、1章相当分を増やすことにしました。結果としてかなり充実した内容になったと思うので、怪我の功名だと考えています。

それでその修正が今日完成しました!

あとは選んだ問題を並び替えて読みやすくする等の作業が残っているだけです。

そういう調整が済めば出版社とのやり取りが始まります。原稿はTEX(数式組版ソフト)で打ってありますが、図については面倒なので、出版社に作ってもらいます。これが結構時間がかかると思いますが、それができたら校正です。

う~ん、待ちきれないですねぇ!