子育てについて一言
親は、子どもをどの学校に行かせるべきかとか、もっと小さくはどんな習い事をさせるべきかといった一つ一つの判断が子どもの将来に直結していると感じます。
それだから親は子どものこととなると必死になり、場合によっては入れ込み過ぎになってしまうこともあります。
一方、子どもはというと、親の選択によって自分の将来が決まるとは思っていないのではないでしょうか。特に中学生以降になると、次第に考え方が変わり、自分の将来についての責任は自分にかかっていると自覚するようになっていきます。さらに高校生になり、もし、親の判断が悪かったから自分の人生が台無しになったなどと考えているようだと、それはかなりまずい状況で、ほとんどの場合は自分が成功するもしないも、それは自分の努力次第だと考えるようになります。
私自身が育った家庭は、子どもにとって何がいいかを親が決め過ぎる傾向にありました。子どもの将来の理想像を親が強く描き、その方向に子どもを引っ張っていこうとしていたということです。
何が起こったでしょうか?
勉強もよくでき、素直ないい子だったはずの息子が牙をむいたのです。
それは私が中2のときでした。親の価値観に反発し、戦争が始まりました。
結果として私は勉強を放棄し、将棋のプロを目指すことになりました。当然のことながら家庭の応援はありませんでした …
今、私は数学を教えています。それはある意味、親が願っていた方向と一致しています。
しかし、大切なことは、それを自分自身で選択したということです。
つまり、子どもの特性に合った方向に子どもを引っ張っていたとしても、どの方向を選ぶかは子ども自身が決めることだと理解しておかないと、思わぬ反発が生じることがあるのです。
逆に、親が子育てに無関心過ぎて、子どもが得るべき機会が少なかったり、もっと言えば不利になることもあるでしょう。
しかし、それでも子どもの将来を決めるのは子ども自身であり、その責任を子ども自身が引き受けるときがどこかでやってきます。それが子どもが大人になっていくということであり、そういう境目が高校生あたりにあると私は考えています …
稲荷塾小学生部ではやっぱり塾の特性上、入れ込み過ぎと見られる家庭が多いように思います。
おそらく、それ自体を変えることは無理でしょうが、もう少し長い視野で見ることと、もう少し肩の力を抜いて柔軟な対応をしようと心がけることをお願いしたいと思います。