本気の生徒のみ募集
私の場合、高1が終わったところで奨励会(将棋のプロの養成機関)に受かったので、高2、高3は将棋漬けになりました。
学校では寝て、終了のベルと同時に師匠の道場に向かい、終電まで、ときには徹夜で将棋をするという生活をしていました。この話はこれでとても面白いので、またいずれお話ししようと思いますが、今日の話題はまた別の内容です。
勉強をゼロからスタートするというお話です。
高2になってからの2年間は、実質上一切勉強しなかったので、学校の成績は一直線に落ち続け、卒業時には学校(向陽高校)で最下位になっていました。
しかし、そこで将棋のプロへの夢に見切りを付け、大学を受けることになったのです。ゼロからのスタートです。
当時は京都にもたくさんの予備校がありましたが、無試験で入れたのは関西文理学院(カンブリ)と京都予備校だけでした。試験があるところには入れないので、その2つから選ぶことになり、私はカンブリを選びました。
ですが、まず最初に驚いたのは、私より下がいたことです。入るための試験はありませんでしたが、学力試験はあり、その結果は私立理系クラス200人ちょっとの中で私は196番だったのです。
まあそれはいいとして、ほぼどん尻の何も知らないところから始めたので、講義を聞いても分からない、どこから手を付けていいのかも分からない状態でした。
ただ、新鮮でしたねぇ。特に、英語の先生が下ネタを連発しながら勉強の仕方を教えてくれたのは印象に残っています。この先生は大阪外大(現阪大)の教授だといううわさでしたが、他にも数Ⅲの先生は北大の教授だと言われており、講師のレベルは相当に高かったと思います。
そうしているうちに徐々に成績は上がり、9月以降のすべての模試で私は一番になったのです。
担任からすれば、目立ったんでしょうねぇ …。当時新卒だった阿部さんは、私を何度も呼び出し、いろいろとアドバイスをしてくれました。
この話には後日談があり、その後十数年が過ぎて、今度は私が講師試験を受けに行ったとき、その阿部さんが教務部長になっていたのです。私の採用を決めたのも阿部さんでしたし、その後もよくしてもらいました。その後カンブリの母体が長浜バイオ大学を作ったとき、阿部さんは事務室長に抜擢され、そちらに移って行かれたので、かなりのやり手だったのだろうと思います。
話を戻して、だから普通にやっていれば成績は伸びるものだと思っていました。
ところが、
伸びない子がいるのです。
たとえば中学受験をして、いい中学に入ったけれども、その後さぼっていたら落ちこぼれてしまった、これって上に書いた私の状況と全く同じじゃないですか。
だから、ちょっと頑張ればすぐに伸びると思うわけです。
やっていなかっただけなんだろうから、やれば上がるはずだろうと。
でも、そういう状況から急上昇した子はほとんどいません。
どうして伸びないのでしょうか?
私が分析するには、2つの理由が考えられます。
1つは中学受験の問題が悪い。
やり方だけを詰め込めば受かってしまうような問題を出している。
そもそも試験日の次の日に合格発表って、あり得ないでしょう!
結果しか見ていないわけです。
こんな選抜方法では、まるでダメな子を受からせてしまう。
つまり、その子がまるでダメな子だった場合には、それが明らかになっただけで、その後どのように改善しようとしても無理だ、ということになります。
もう1つの理由は、やっていると言いながらやっていないのです。
やるべきことを一定期間やり続けるためには、それなりの覚悟が必要です。
習慣を変えない限り、結果を変えることはできませんが、この習慣を変えるためには、まず「覚悟」がなければなりません。
そんなのは簡単だろうと思うのですが、一般的には簡単じゃないようで、そこをクリアできないから伸びない。
以上2つの理由を述べましたが、伸びない理由が1つ目だとしたら諦めてください。他に道を探した方がいいです。
2つ目ならば、可能性があります。
でも、甘く見ていたらダメです。
こうなりたい、という夢と希望があり、現状を変えたい、という明確な意識がないと実現できません。
稲荷塾は、本気の子が集まる塾でありたいです。
そうでないと面白くないですから。