数学の進度管理
先ほどチラシをアップしたこともあり、稲荷塾の主張を整理して行こうと思います。
まず、2016年の茨木高校と堀川高校の合格実績を見てください。
卒業生数 東大合格者数 京大合格者数
大阪府立茨木高校 323 1(0) 23(8)
京都市立堀川高校 250 5(3) 60(32)
※( )内は現役合格者数
これは2016年の資料で、ここ数年の平均的な結果を表しています。両者の高校入学時の難易度はほぼ同じですが、合格実績はどうでしょうか? 数字の読み方はいろいろあるので、私と違う意見の方もおられると思います。しかし、普通に見たとして、茨木高校が苦戦しているように見えませんか?
両者は大阪と京都にあり、つまり比較的近いところにあり、学生は大体似たような学力からスタートして、似たような志望校を持ち、その結果、堀川高校から京大に2倍以上受かっているのであれば、どうしてだろうかと疑問に感じるのが普通だと思います。
どうしてでしょうか?
私の見解を述べます。この原因は数学のカリキュラム、つまり進度管理の差です。
まず、東大、京大の理系受験で有利になるためにどんなことが重要であるかを確認しておきましょう。
たとえば東大理Ⅰであれば2次試験で5割の得点をするのが合格するための最低ラインです。
個々の受験生で得意不得意があるので、あくまで平均的な話になりますが、数学、英語で点を稼ぐのは非常に難しいです。特に数学は5割取るのが大変で、少し弱ければ、簡単に2割や3割になってしまいます。ですから多くの受験生は数学で何とか負けないようにして、理科で点を稼ごうと考えます。そして実際、理科で6割以上の得点は可能です。
話を元に戻して、東大、京大の理系受験で何が重要かと言えば、
数学を早めに形にして、受験学年になってからは理科を中心に勉強する
ということです。理科に投入する時間を確保できれば、勝てます。
ということは、数学に不安を抱え、数学に最後まで時間を取られる状況になれば不利だということです。
ですから、茨木高校のように高1で数ⅠA、高2で数ⅡB、高3になってから数Ⅲを学ぶようなやり方だと、この理科を中心とした受験勉強をすることはできず、基本的に東大を狙うことはできません。
対して堀川高校はどうしているのでしょうか。
学年による違いがあるようですが、高3の夏までに数Ⅲまですべてが終わるように少しずつ前に繰り上げて進めています。高1の7月いっぱいで数ⅠAのほぼすべてが終わったという話を聞いたこともあります。
数学は早く終わらせ、演習の時間を作り、理科に取り組む時間を作ろうとしているのです。
この両者のカリキュラムの違いが実績の違いにつながっています。
もちろん他の要素もいろいろとありますが、「数学の進度管理」が重要な要素であることを理解してもらえたかと思います。
この続きはまた後日に書きます。