京大理系数学-2025年 大問1‐1(複素数平面) 解答と解説
問題
解法の選択
複素数平面の問題においては
1.z=x+yiとおく(もっとも原始的)
2.z=r(cosθ+isinθ) とおく(極形式)
3.zを残したまま処理する
といった方法がある。それぞれの方法に良さがあるので、いくつかのパターンの問題に挑戦してこの単元をマスターしておこう。
(1.)をもっとも原始的と表現したが、2025年度の東大理系数学大問6でもこういったシンプルな形での変形で上手くいく形が出題されていたので侮れない。こちらは図形と方程式の知識が必要なレベルの高い問題であった。
しかしながら、今回の問題においてはzの絶対値が2という条件があることから、(2.)を使用するとθという一変数で最大値や最小値を考えられるので、簡単になりそうである。実際に試してみると簡単になった。過去にも2017年の京大理系数学大問1でこの方法を活用する問題がある。これも演習しておくと良いだろう。
また、別解1のように(3.)の方法でも、zとその共役複素数との関係を考えることで計算できる。このとき最大値や最小値をとれるかどうかについて、注目している部分が動ける範囲をしっかりと確認することが必要である。zとその共役複素数は独立して動けるわけではないので、このあたりの記述を誤魔化すと印象が悪い。
別解2では三角不等式を用いて解く方法を紹介している。答えを出すだけならばこの方法が最もシンプルであるが、等号成立条件を考えるのが少々難しい。実数における三角不等式の等号成立条件と似たような考え方で偏角を考えれば解決するが、符号に注意しながら考えたい。
個人的には(2.)の方法が一番見えやすく計算も楽だと思うので入試本番においてはこの方法でサクッと解いて他の問題に費やす時間を確保して欲しいが、(3.)のzのまま扱う方法で解くのも複素数の醍醐味だと思うので、これから受験を迎える高校生にはぜひこれも試しておいてもらいたい。
問題の難易度としては計算も大変でなく、思考力を要求されているわけでもないので、基本〜標準と言えるだろう。ただし、さまざまな解法が考えられるため、個人的には面白い問題だった。
合格には欠かせない1問だ。