京大理系数学-2025年 大問2(整数) 解答と解説
問題

京大といえば、整数問題で有名な大学である。今回の大問2は京大らしいシンプルな(つまり3を法として考えるのが有効となる)整数問題であった。また、答えの形が今年をテーマとしていたことでも話題となった一問である。
類題を過去問でやっていれば解法を思いつくにあたって最初の一手に迷うことはなかっただろう。
整数問題においては、解答を書き始める前に行う実験でどれだけ結論にたどり着くためのアプローチを思いつけるかが重要である。その際、いくつかの王道パターン(素数である条件や余りの条件などの活用方法)を知っているかどうかで、攻略の難易度が大きく変わる。
整数問題が弱点だと感じている受験生をよく見かけるが、京大の入試数学においてはこうしたパターンの問題は頻出であるので、過去問で使用されている考え方を研究し対策を練ることで案外得意分野に変えることも可能であるように感じている。
個人的には、整数問題が苦手だと思い込んでいる人は思考することに対して億劫さを感じているように見えるが、整数問題を解くうえで必要となる思考には、問題を解こうとしているときの思考もさることながら、今まで解いてきた問題の解答や解説に対する理解をどこまで深められるかといったところも重要であるように感じている。
解けなかった問題について、「これは難問だから仕方がない」とあきらめてしまうのではなく、その問題から参考になるものとしてなにを引き出せるのかを意識しながら勉強すると良いといえるだろう。
3で割った余りが問われる形の類題は文系・理系問わず山ほど出題されていると言えば言いすぎかもしれないが、すぐに思いつくだけでもいくつかある(2006年、2016年(素数かつ偶数は2に限られることを使う良問)、2021年)。
こうした問題で練習していれば短時間で解くこともできる問題だったので、合否を決めるような問題だったのではないかと思う。
来年は2026年(2026=2×1013と素因数分解される)なので今回のような問題は出題されないかもしれないが、いつか出題されるであろう整数問題に思いを馳せながら今回の問題にも取り組んでおくと合格に少しだけ近付けるかもしれない…。
ちなみに、今年は東大でも整数問題(2025年)が出題されていた。こちらには少々てこずった。
aを整数として4a+1が素数になるという条件が何か面白い法則性や意味を持つのではないかという期待が判断力を邪魔してきたためである(調べてみると4a+1が素数となるaは1,3,4,7,9,10,…と続くようで法則性はよく分からない)。解決策は力技で4a+1を作るという取るに足らないものであった。
こちらも問題自体は面白いので余力があればやってみると良いだろう。
具体的な方針
9z2 = x6+y4 を眺めてみる。すると左辺は9の倍数なので右辺も9の倍数となる。
x, yが3 で割り切れるかどうかで場合分けして考えると、x, yがともに3の倍数でないとうまくいかないことが分かる。
x, yの条件が絞れればNが出来る限り小さくなるという条件があるので具体的にできるだけ小さくなるようにx, yに3の倍数を代入すれば求まる。
3の倍数という条件を満たす範囲で、できるだけ小さくなるように代入してみると2個目で条件を満たすものが登場した。
ただし、それが最小であることを確認したことは記述すべし。論証に穴があると、答えがあっていても大幅な減点を食らうこともあり得る。
予備校などの模範解答では、最終的にzに自然数を順に代入することで答えを求めるような解答(確かに最小であるという条件を考えやすい)をよく見かけたが、3で割った余りを考えた後にそれ以上の議論をしなくて済む解答のような方法の方が個人的には好みである。
x6にx=9などを代入させるはずがないという気持ちもある(ちなみに96=531441となるようである)。
京大はそういった無駄に繁雑な計算を要求するようなことはないと思って代入すべし、といったところか。

